ウイルス検出を目的とした体外診断薬の再評価技術基盤に関する研究

文献情報

文献番号
201132031A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス検出を目的とした体外診断薬の再評価技術基盤に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小林 和夫(国立感染症研究所 免疫部)
研究分担者(所属機関)
  • 川名 尚(帝京大学医学部附属溝口病院 産婦人科)
  • 多屋 馨子(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 岡田 賢司(国立病院機構 福岡病院)
  • 高橋 宜聖(国立感染症研究所 免疫部)
  • 岡本 貴世子(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 庵原 俊昭(国立病院機構 三重病院)
  • 大西 和夫(国立感染症研究所 免疫部)
  • 水澤 左衛子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルス感染症体外診断薬の問題点を抽出し、体外診断薬の再評価に基盤を提供し、臨床<->基礎医学の橋渡し研究を推進する。
研究方法
性器ヘルペスウイルス感染症(感染症法、5類定点)、インフルエンザ(5類定点)、ロタウイルス感染症(感染性胃腸炎、5類定点)、パルボウイルスB19感染症(伝染性紅斑、5類定点)、風疹(5類全数)、A型肝炎(4類)を対象とした。生命倫理、動物愛護や遺伝子組換実験など、機関承認を得て実施し、利益相反はなかった。
結果と考察
性器ヘルペスウイルス感染症の血清診断:初発に初感染と非初感染例があり複雑な病態を示すため、診断にIgMとIgG抗体価の両者による評価が必要である。
インフルエンザ迅速免疫診断キットの評価や開発:検体に10,000 copies以上のウイルス量が含まれる場合、陽性と判定される。A/H1N1 2009pdmの迅速診断キットに用いた抗体の特異性や抗原決定基の同定は性能評価に科学的根拠を提供し、承認申請に必須である。
ロタウイルス体外診断薬の性能評価:ロタウイルス迅速診断キットの感度に大差はなく、どのキットも臨床的に有用と考えられる。
パルボウイルスB19に対する抗体価の検討:パルボウイルスB19抗体判定試薬は0.6~38.6 IU/mLで定量性を示し、<1:陰性、1~2:判定保留、2 IU/mL以上:陽性である。31~40歳女性は抗体陽性率が低く、この年齢群は感染高危険群と思われる。
風疹ウイルス遺伝子検出技術に関する検討:設計したTaqMan real-time PCR法はRT-PCR法よりも高感度であり、また、検体に含まれる夾雑物の影響も受け難く、実験室診断の選択肢となる。
A型肝炎ウイルス(HAV)体外診断薬の再評価に関する研究:HAV株に対する診断キットの感度が異なる可能性を示唆し、監視する必要がある。また、新規診断技術であるHAV抗原測定法の特異性について検討した。
ウイルスの体外診断薬に資する国内標準品の計画的な整備:HBV、HBV-DNA、HEV-RNAなどの国際標準品が整備され、体外診断用医薬品の適切な性能評価が期待される。
結論
ウイルス感染症における診断キット間の性能格差を是正、感染症の迅速診断キットの開発、加えて、体外診断用医薬品の評価や精度管理に国内・国際標準品の整備は感染症医療のみならず、公衆衛生の向上や国際貢献に寄与する。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132031Z