献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201132016A
報告書区分
総括
研究課題名
献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-018
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 秋田 定伯(長崎大学病院 形成外科)
  • 石川 隆英(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 田辺 善仁(株式会社エフエム大阪)
  • 菅原 拓男(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 田中 純子(広島大学 疫学、疾病制御学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学の進歩により臓器移植が可能になるなど治療における血液の需要が益々高まる一方、献血者数、特に若年層の減少が指摘され献血液の確保が大きな課題となっている。献血液の安全について、わが国は非常に優れた検査により安全な血液が選別され、世界でも類を見ないほど安全な輸血液を供給できていると考えられる。しかしながら、献血者での例えば年間HIV陽性数および陽性率の上昇が引き続き指摘されている。本研究では、今後の安全な血液の確保のため献血の実情を明らかにし、献血離れの現象があるとすれば、その原因の解明を行い、献血推進に向けた効果的広報を開発する事にある。
研究方法
献血液の需要と供給状況を把握すると共に、効果的広報戦略に付き研究を進めた。1)輸血液の需要2)供血者の実情調査と献血促進および阻害因子3)献血推進に向けた職員の研修方法4)若者における献血意識と献血行動の促進および阻害因子5)献血推進施策の効果、以上の研究と並行して6)対象とする年齢層、例えば若年層への献血行動促進に向けた広報の戦略を立案し1)から5)の結果を踏まえた広報を戦略的に展開し7)最終的に広報前後での献血行動の分析から広報の効果を評価する事とした。
結果と考察
1)献血を受けた患者にアンケートを実施。献血を受けた患者の多くは献血に肯定的で献血者への感謝の言葉が寄せられた。2)献血推進の目的で日本赤十字社が展開したLOVE in ACTIONを始め新たな広報の上乗せに伴い献血総数は微増傾向となった。3)今年度は若年献血者の増加のため同世代からの働きかけの強化と将来の献血基盤構築のため全国組織の学生献血推進ボランティアを対象に研修の充実を図り、個々の意識の向上、積極的に取り組む姿勢が導かれ有効と考えられた。4)各エリアの血液センターとジャパンエフエムネットワーク局が連携しエリアごとの献血推進が可能になった。リスナー層である全世代に献血の重要性を伝える事が出来たと考える。5)献血量の確保のためにも献血者の動向について年代別、月別、地域別、経験回数別等での献血本数等の詳細な経年的分析が有用で今後も必要と考えた。
結論
本研究の主たる対象である若年層の献血推進について、各研究から広報の在り方、全国学生ボランティアの参加等有効な方向が見いだされた。東日本大震災を契機に若年層の献血者数が増加した事も重要な現象だと考える。今後は献血推進に関わる広報等の各方面の取り組みの個々の効果について検討がさらに必要と考える。

公開日・更新日

公開日
2012-06-11
更新日
-

文献情報

文献番号
201132016B
報告書区分
総合
研究課題名
献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-018
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 秋田 定伯(長崎大学病院 形成外科)
  • 掛川 裕通(日本赤十字社 人事部)
  • 田辺 善仁(株式会社 エフエム大阪)
  • 山口 繁(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 石川 隆英(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 菅原 拓男(日本赤十字社 血液事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学の進歩で臓器移植が可能になる等輸血液の需要は益々高まる一方、献血者数、特に若年層の減少が指摘され献血液の確保が大きな課題である。本研究では、安全な血液確保のため献血の実情を明らかにし、献血離れがあるとすれば原因解明を行い、献血推進の効果的広報を開発する事にある。
研究方法
5つの分担研究と研究協力者から構成、研究代表者が研究全体を統括した。分担研究は1) 輸血液の需要に関する研究(研究分担者:秋田定伯氏 長崎大学)2) 供血者の実情調査と献血促進および阻害因子に関する研究(研究分担者:山口繁氏、石川隆英氏 日本赤十字社)3) 献血推進に向けた職員の研修方法に関する研究(研究分担者:掛川裕通氏、菅原拓男氏 日本赤十字社)4) 若者における献血意識と献血行動の促進および阻害因子に関する研究(研究分担者:田辺善仁氏 (株)エフエム大阪)5) 献血推進施策の効果に関する研究(研究分担者:田中純子氏 広島大学大学院)とし、研究協力者に大平勝美氏(社会福祉法人はばたき福祉事業団)らに参加頂いた。
結果と考察
1)輸血患者を対象にアンケート調査を3年間実施。輸血および献血に対する意識の現状を把握できた。今後も対象を絞った周知が必要である。
2) 献血推進キャンペーン「LOVE in Actionプロジェクト」を分析し、献血に繋がる方法、国民への周知、特に若年層への啓発として有効だったと考える。今後は学生ボランティアの協力も得て同世代の啓発強化、献血未経験者へのアプローチで効果測定を継続する必要がある。
3) 日本赤十字社の献血受付担当職員等で、献血者とのコミュニケーション技術が向上、継続的な研修で実践に活かす事が重要である。顧客満足度に関するアンケートを実施しスキルアップに繋げる必要がある。
4)ラジオリクエストでは、「LOVE in Action」の若年層の反応は低く働きかけが必要と推察されたが、一方、世界献血者デー開催のイベントでは若年層の反応も高く一定の啓発ができたと考えられた。
5) 3年間の解析から、若年層の初回献血者に、初年度に2回以上の献血を強く推進する事が持続的な献血及び将来の献血本数確保のために有効で、そのためにテレビ等の広告媒体や学校との連携を通じ献血に関する正しい知識や情報提供をする必要があると考えられた。
結論
本研究班は、献血の必要性と意義、献血推進のために必要な今後の方向性と方策、献血推進キャンペーンの効果の部分的評価と課題を明らかにし、今後の献血推進に資する一定の成果を得たと考える。

公開日・更新日

公開日
2012-06-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
輸血液の需要が高まるなか効果的広報戦略は重要である。Love in Action プロジェクトの分析ではイベントやメディア他の若年層への献血推進の効果が推測された。職員や学生ボランティアの研修では意識向上と全国規模で連携し積極的に取り組む姿勢が認められた。ラジオのリクエストではアーティスト参加型イベントと比較し若年層の反応が低く、継続的な活動が必要と考える。データ解析では広告媒体としてテレビやラジオが有効で、学校との連携も必要であると推察され、また、献血を継続する集団の特性が明らかになった。
臨床的観点からの成果
需要に見合った献血を推進するために、献血液の需要と供給の状況を把握するため、輸血を受けた患者に対しアンケート調査を実施した。輸血及び献血に対する意識の現状を確認することができた。意見は、厚生労働省発行の冊子や学校教材にも活用され、若年層の献血推進に繋がるものと期待される。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
アンケート調査の結果の一部が、厚生労働省の刊行誌「けんけつ HOP、STEP、JUMP」に掲載された。
その他のインパクト
日本赤十字社はたちの献血キャンペーンソング「キミに出会えてよかった」(Metis氏)の製作に協力し、その模様がNHKなどで放送された。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
13件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
29件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132016Z