ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際協調に関する研究

文献情報

文献番号
201132008A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際協調に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 柴山 恵吾(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 柊元 巌(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 岩城 正昭(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 内藤 誠之郎(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 落合 雅樹(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 佐々木 次雄(独)医薬品医療機器総合機構 品質管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOは、2010年に「ワクチンのロットリリースに対するガイドライン」を作成し、規制当局は最低限、製造所が作成したロット毎の製品の製造及び試験の記録等を要約した書類(サマリーロットプロトコール:SLP)の審査に基づきロットリリースを実施することを要求している。これまで、国際調和に向けた我が国の国家検定制度のあり方を検討し、ワクチンの品質管理・保証の向上及び国際調和の観点から、平成22年12月10日に厚労省医薬食品局長に対し「ワクチン国家検定へのサマリーロットプロトコール・レビュー制度導入の提言」が行われた。今年度は、SLP審査を導入するために必要な法令等の改正・整備等を具体化し、併せて、ワクチン製品毎に承認書から品質に影響を及ぼす重要な項目を選択する等、SLP様式に記載すべき事項について検討を行った。
研究方法
国家検定の一部としてSLP審査を導入するに当たり、必要となる法令等の改正・整備等について規制当局である厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課と協議した。また、我が国の承認規格に対応したSLPの様式について作成方針を定め、ワクチン製品毎に製造販売承認申請書(承認書)記載内容に照らしてSLP様式を作成した。
結果と考察
現在の国家検定に、SLP審査を導入することはロットリリースの国際的な調和が図られると共に、健康危機管理において重要性が高いワクチンの品質確保及び品質保証のさらなる向上に寄与するものと考えられた。本研究成果に基づき、平成23年7月4日に薬事法施行規則の一部改正等、SLP審査の導入に係る法令等が発出され、平成24年10月1日からSLP審査がワクチンの国家検定において制度化されることになった。今後、製剤のロット間の均質性のモニタリングデータを積み上げ、ワクチンの品質管理におけるSLP審査の有用性について検証することが、SLP審査を根幹とするロットリリース制度をわが国に根づかせるために必要である。
結論
SLP審査は、均一な品質のワクチンをロットリリースするための有用な制度であるが、適切にSLP審査を実施するためには、その製造管理及び品質管理について十分な教育訓練を審査担当者に施す必要があり、またSLP様式は、製剤種の特性も考慮に入れながら、当該品目の承認書の記載事項のうち品質管理上重要な項目を網羅し、製品ごとに作成される必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
201132008B
報告書区分
総合
研究課題名
ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際協調に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 柴山 恵吾(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 柊元 巌(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 岩城 正昭(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 内藤 誠之郎(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 落合 雅樹(国立感染症研究所 検定検査品質保証室)
  • 佐々木 次雄(独)医薬品医療機器総合機構 品質管理部)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 和田 昭仁(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOは各国のワクチン・ロットリリース体制の調査及びその評価結果を踏まえ、WHOガイドラインを作成し、製造所が作成したサマリーロットプロトコール(SLP)の審査を根幹とするロットリリースのあり方を示した。現在、我が国で実施している検定制度(検定機関が実施する試験に基づく品質確認)との間には違いがあり、SLP審査制度の導入が求められている。我が国においてもワクチンの安全・安心の更なる保証のためにロットリリース体制の充実は不可欠である。そこで、ワクチンの品質確保のための国家検定のあり方について提言を行うことを目的に研究を行った。
研究方法
規制当局である厚生労働省(厚労省)、GMP調査あるいは承認審査業務の委嘱を受けている独)医薬品医療機器総合機構、そして検定機関である国立感染症研究所(感染研)が連携し、SLP審査制度の導入を中心に我が国の国家検定のあり方を検討した。
結果と考察
ワクチンの品質保証システムの確立は国家戦略でもあり、国民の健康維持に不可欠である。承認された製造方法に基づきワクチンの製造を行うことは、製造所の一義的な責任であるが、それに加えて国がSLPの審査を実施することはワクチンの品質確保の面で一段と意義がある。一方で、感染研が実施してきた試験による品質確認に基づく検定が、ワクチンの品質確保に大きく貢献してきた事実も無視することはできない。したがって、これまで実施されてきた試験に加え、製造販売業者にSLPの提出を求め、その内容を感染研が審査する制度をワクチンの国家検定に導入することは、国際的なロットリリース制度と調和するとともに、ワクチンの品質確保・品質保証の向上に寄与するものと結論し、厚労省医薬食品局長に提言した。
結論
本研究成果に基づき、平成23年7月4日に薬事法施行規則及び「薬事法第四十三条第一項の規定に基づき検定を要するものとして厚生労働大臣の指定する医薬品等」の一部改正、並びに「薬事法施行規則第百九十七条第二項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する生物学的製剤である医薬品」が発出され、平成24年10月1日からワクチンの国家検定において、SLP審査が制度化されることになった。今後、ワクチンの品質管理におけるSLP審査の有用性について検証することが、SLP審査を根幹とするロットリリース制度を我が国に根づかせるために必要である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我が国の国家検定制度におけるワクチンの品質管理・品質保証制度をレビューするとともに今後のあり方を検討し、ロット毎の製造及び試験の記録を要約したサマリーロットプロトコール(SLP)の審査を国が実施することはワクチンの品質確保の面で一段と意義があり、検定制度(ロットリリース制度)の国際的な調和が図られると結論した。
臨床的観点からの成果
SLP審査制度をワクチンの国家検定に導入することにより、ワクチンの品質確保・品質保証の向上に寄与し、国民が安心してワクチンの接種を受けることができる体制の充実に貢献することが期待される。
ガイドライン等の開発
厚生労働省医薬食品局長に、国家検定においてこれまで実施してきた試験に加え、ワクチンの製造販売業者にSLPの提出を求め、その内容を検定機関である国立感染症研究所が審査する制度を導入することが、ワクチンの品質確保の面で一段と意義があるとの提言を行った「ワクチン国家検定へのサマリーロットプロトコール・レビュー制度導入の提言」(平成22年12月10日)。
その他行政的観点からの成果
本研究の調査・研究等に基づき、平成23年7月4日に薬事法施行規則の一部改正、「薬事法第四十三条第一項の規定に基づき検定を要するものとして厚生労働大臣の指定する医薬品等(昭和三十八年厚生省告示第二百七十九号)」の一部改正、「薬事法施行規則第百九十七条第二項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する生物学的製剤である医薬品(厚生労働省告示第二百二十五号)」が発出され、平成24年10月1日からワクチンの国家検定にSLP審査制度が導入されることになった。
その他のインパクト
WHOは各国のワクチン・ロットリリース体制の調査及びその評価結果を踏まえ、WHOガイドラインを作成し、SLP審査を根幹とするロットリリースのあり方を示している。我が国が国家検定にSLP審査制度を導入することは、国際的なロットリリース制度との調和が図られることにもなる。今後、ワクチンの品質管理におけるSLP審査の有用性について検証することが、SLP審査を根幹とするロットリリース制度を我が国に根づかせるために必要である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
6件
学会発表(国内学会)
5件
日本ワクチン学会学術集会
学会発表(国際学会等)
1件
Vaccine and ISV Annual Global Congress
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
薬事法施行規則の一部改正等
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Momose H, Imai J-I, Hamaguchi I et al.
Induction of indistinguishable gene expression patterns in rats by vero cell-derived and mouse brain-derived Japanese encephalitis vaccines
Japanese Journal of Infectious Diseases , 63 (1) , 25-30  (2010)
原著論文2
Momose H, Mizukami T, Hamaguchi I et al.
A new method for the evaluation of vaccine safety based on comprehensive gene expression analysis
Journal of Biomedicine and Biotechnology , 2010  (2010)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132008Z