医薬品規制の国際調和の推進による医薬品審査の迅速化のための基盤的研究

文献情報

文献番号
201132002A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品規制の国際調和の推進による医薬品審査の迅速化のための基盤的研究
課題番号
H21-医薬・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所  )
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 )
  • 新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 )
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 )
  • 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部 )
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 成川 衛(北里大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオ医薬品、バイオ後続品、遺伝子治療薬、化学薬品などの幅広い医薬品を取り上げ、医薬品の品質特性解析や製法評価、規格試験法や品質管理システム等の国際調和を推進するため、試験法の標準化、あるいは国際調和案の裏付けとなる科学的データの取得や、調和を目指す試験法を評価するための先導的な研究を行う。
研究方法
バイオ医薬品、バイオ後続品、遺伝子治療薬、化学薬品などの、調査研究、実証研究、海外動向調査を通じた検討を行った。
結果と考察
①バイオ医薬品原薬製造におけるデザインスペース設定等のケーススタディを実施するため、抗体医薬品のトラスツズマブをモデルとした実験的製造システムと製造工程を評価可能な各種解析法を確立した。②抗体医薬品の生物活性評価法として、フローサイトメーターを用いた抗原およびFc受容体結合実験系の品質試験法としての有用性、及び抗原発現細胞とエフェクター細胞の架橋を評価するBridging Assay系のADCC活性測定系の代替試験法としての有用性を明らかにした。③製造方法の異なるIFN-β1a製剤の力価測定法として、A549細胞を用いたレポーター遺伝子の発現促進を指標とした試験法を開発し、従来法よりも簡便な測定法としてその有用性を明らかにした。④遺伝子治療薬のヒト初回投与試験までに実施すべき非臨床試験の要件について、各種遺伝子治療薬に共通して必要とされる要件と、遺伝子治療薬の種類による特有の考慮事項の観点から考察した。⑤医薬品品質管理方策の新しい考え方である製造工程管理について、日米欧各薬局方での記載の現状を明らかにするとともに、日局における今後の記載のあり方を考察した。⑥ICH医薬品規制国際調和会議の製剤開発・品質リスクマネジメント・医薬品品質システムの3ガイドラインの実施作業部会の活動に参加し、Quality by Designの導入に関する6つのPoints to Consider をまとめた。⑦欧米における医薬品販売承認の更新、条件付き販売承認、市販後臨床試験等の監視のための方策等に関する規制と運用状況を調査し、現状を明らかにするとともに今後の我が国の制度のあり方を考察した。
結論
今年度得られた成果は、医薬品の品質・特性解析法、一般試験法や医薬品規制に関するガイドライン等の国際調和の推進に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201132002B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品規制の国際調和の推進による医薬品審査の迅速化のための基盤的研究
課題番号
H21-医薬・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所 )
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 成川 衛(北里大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオ医薬品、バイオ後続品、遺伝子治療薬、化学薬品などの幅広い医薬品を取り上げ、医薬品の品質特性解析や製法評価、規格試験法や品質管理システム等の国際調和を推進するため、試験法の標準化、あるいは国際調和案の裏付けとなる科学的データの取得や、調和を目指す試験法を評価するための先導的な研究を行う。
研究方法
バイオ医薬品、バイオ後続品、遺伝子治療薬、化学薬品などの、調査研究、実証研究、海外動向調査を通じた検討を行った
結果と考察
①バイオ医薬品原薬製造におけるデザインスペース設定等のケーススタディを実施するため、組換えヒトFSH及び抗体医薬品のトラスツズマブをモデルとした実験的製造システムと製造工程を評価可能な各種解析法を確立した。②抗体医薬品の生物活性評価の課題とされる抗体と抗原及びFc受容体の結合が関与するADCC活性の新たな評価法として、フローサイトメトリーを用いたCell-based binding assay及びBridging assay系を構築し、その有用性を明らかにした。③製造方法の異なる組換えヒトHGF、抗ヒトVEGF抗体製剤、天然型及び組換えIFN-β1a製剤の生物活性試験について検討し、バイオ医薬品の同等性/同質性評価における生物活性の重要性を明らかにした。④国際調和指針に盛り込むべき遺伝子治療用ベクターや腫瘍溶解性ウイルスの排出と伝播のリスク評価法の要件及び遺伝子治療薬のヒト初回投与試験までに実施すべき非臨床試験の要件を明らかにした。⑤薬局方一般試験法の国際調和に関する研究として、製剤総則の大改正に伴い整備が必要な製剤試験法、国際調和製剤試験法の日米欧各薬局方への取込の現状、製造工程管理に関する各薬局方の記載の現状を明らかにするとともに日局の今後のあり方について考察した。⑥ICHのQ8・Q9・Q10の3ガイドラインの導入、実践のためのQ&A、教育資料、Points to Considerの作成状況を明らかにした。⑦欧米における医薬品販売承認の更新、条件付き販売承認、市販後臨床試験等の監視のための方策等に関する規制と運用状況を調査し、現状を明らかにするとともに今後の我が国の制度のあり方を考察した。
結論
得られた成果は、医薬品の品質・特性解析法、一般試験法や医薬品規制に関するガイドライン等の国際調和の推進に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
①バイオ医薬品の品質管理法としてQuality by Designを適用に関する研究の推進するためのツールを確立した。②抗体医薬品の生物活性評価のためのより有用なin vitro手法を確立した。③遺伝子治療薬の安全性評価及び臨床試験開始前までに実施するべき試験について明らかにした。④局方製剤総則の大改正に伴って整備が必要な製剤試験について国際動向を踏まえた要件を明らかにした。⑤ICH品質、リスク管理ガイドラインの策定に対応したQ&A、教育資料、Points to Considerの整備を行った。
臨床的観点からの成果
遺伝子治療薬の安全性評価や臨床試験開始前までに必要となるデータの要件を明らかにしたことより、遺伝子治療薬の臨床開発の進展に寄与すると考えられる。抗体医薬品の生物活性試験系は、臨床開発に向けた新たな評価法として利用されることが期待される。医薬品の販売承認の更新、条件付き販売承認、市販後臨床試験等の監視のための方策等に関する規制等の情報は、医薬品の市販後の安全対策に利用されることが期待される。
ガイドライン等の開発
ICHの品質システム(Q8-10)のガイドラインの実践、普及に必要な環境整備が達成された。製剤総則の大改正に伴い整備が必要な製剤試験法について、今後の改正に取り込まれることが期待される。抗体医薬品の品質管理法や生物活性試験等に関する研究の成果は、抗体医薬品ガイダンスの事務連絡の発出に寄与した。
その他行政的観点からの成果
遺伝子治療の安全性やヒトへ最初に投与するまでに明らかにすべきデータに関する研究の成果は、遺伝子治療臨床研究指針の改定素案の作成にも利用されている。
その他のインパクト
なし。

発表件数

原著論文(和文)
34件
原著論文(英文等)
35件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
24件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
T. Yamaguchi, T. Arato
Quality, safety and efficacy of follow-on biologics in Japan.
Biologicals , 39 , 328-332  (2011)
原著論文2
T. Arato, T. Yamaguchi
Experience of reviewing the follow-on biologics including Somatropin and erythropoietin in Japan.
Biologicals , 39 , 289-292  (2011)
原著論文3
石井明子、鈴木琢雄、多田 稔、他
抗体医薬品の体内動態制御に関わる受容体:FcRn
日本薬理学会誌 , 136 (5) , 280-284  (2010)
原著論文4
石井明子、川崎ナナ
バイオ治験薬の品質安全性確保
Pharm Tech Japan , 16 , 69-80  (2010)
原著論文5
新見伸吾,原島 瑞,日向昌司,他
治療用タンパク質の免疫原性 その3
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス , 41 (9) , 726-735  (2010)
原著論文6
Kadoya, S., Fujii, K., Izutsu, K.,et al.
Freeze-drying of proteins with glass-forming oligosaccharide-derived sugar alcohols.
Int J Pharm , 389 , 107-113  (2010)
原著論文7
川西 徹
製剤総則の改正
薬局 , 62 , 2598-2605  (2011)
原著論文8
川西 徹
製剤試験法
薬局 , 62 , 2654-2657  (2011)
原著論文9
檜山行雄
医薬品規制国際調和会議Q-IWGの活動
PDA Journal of GMP and Validation in Japan , 11 (2) , 56-61  (2010)
原著論文10
檜山行雄
欧州(エストニア・タリン市)におけるICH教育研修会を終えて
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス , 41 , 756-768  (2010)
原著論文11
山口照英、川崎ナナ
抗体医薬品の品質・安全性確保
ファルマシア , 45 (7) , 677-682  (2009)
原著論文12
山口照英、石井明子
早期臨床開発段階でのバイオ医薬品の品質・安全性確保
臨床評価 , 36 , 611-627  (2009)
原著論文13
山口照英、内田恵理子
核酸医薬品の開発動向とその品質・安全性確保
Pharmstage , 9 (2) , 1-5  (2009)
原著論文14
T. Suzuki, A.Ishii-Watabe, M. Tada, et al.
Importance of FcRn in regulating the serum half-life of therapeutic proteins containing the Fc domain of human IgG1: A comparative study of the affinity of monoclonal antibodies and Fc-fusion proteins to human FcRn.
J. Immunol. , 184 (4) , 1968-1976  (2010)
原著論文15
Izutsu, K., Kadoya, S., Yomota, C., et al.
Freeze-drying of proteins in glass solids formed by basic amino acids and dicarboxylic acids.
Chem Pharm Bull , 57 , 43-48  (2009)
原著論文16
Sakamoto, T., Portieri, A., Taday, P. F., et al.
Detection of tulobuterol crystal in transdermal patches using terahertz pulsed spectroscopy and imaging.
Pharmazie , 64 , 166-174  (2009)
原著論文17
Izutsu, K., Hiyama, Y., Yomota, C., et al.
Near-infrared analysis of hydrogen-bonding in glass- and rubber-state amorphous saccharide solids.
AAPS PharmSciTech , 10 , 524-529  (2009)
原著論文18
Shibata, H., Saito, H., Kawanishi, T. et al.
Pharmaceutical quality evaluation of lipid emulsions containing PGE1: alteration in the number of large particles in infusion solutions.
Int J Pharm , 378 , 167-176  (2009)
原著論文19
Izutsu, K., Kadoya, S., Yomota, C., et al.
Stabilization of protein structure in freeze-dried amorphous organic acid buffer salts.
Chem Pharm Bull , 57 , 1231-1236  (2009)
原著論文20
檜山行雄
品質に関するトピックに動向、Q-IWG:品質実施作業部会
医薬品研究 , 40 , 848-852  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,170,000円
(2)補助金確定額
1,170,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,523,300円
人件費・謝金 319,800円
旅費 2,073,448円
その他 1,784,616円
間接経費 0円
合計 11,701,164円

備考

備考
預金利息

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-