抗酸化物質大量摂取時の安全性評価:運動の有用作用に及ぼす影響

文献情報

文献番号
201131054A
報告書区分
総括
研究課題名
抗酸化物質大量摂取時の安全性評価:運動の有用作用に及ぼす影響
課題番号
H23-食品・若手-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
竹林 純(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部 食品分析研究室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
種々の疾病の発症及び増悪に関わる活性酸素・フリーラジカルの消去因子として、食品中に含まれている抗酸化物質に大きな関心が寄せられ、抗酸化サプリメントが多数流通している。我々は以前、これらの抗酸化サプリメントの中に、通常の食品と比較して1,000倍以上の濃度の抗酸化物質を含むものがあることを明らかにし、食経験を逸脱した量の抗酸化物質が摂取され得ることを示した。本研究はそれをふまえ、抗酸化サプリメントの安全性をより詳細に検証するものである。抗酸化サプリメントの大量摂取時の安全性評価として、運動の有用作用に及ぼす影響に着目した。運動は、酸素消費の増大に起因する活性酸素の発生増加を伴うため、抗酸化サプリメントの利用が推奨されてきた。ところが近年、運動時に発生する活性酸素は種々の酵素や転写共役因子の発現を介して運動の有用面に寄与しており、抗酸化物質の大量摂取により活性酸素を消去すると運動の有用性が損なわれるという研究結果が報告された。そこで本研究では、抗酸化物質の種類・用量が運動の有用性に及ぼす影響について詳細に検討することを目的とした。
研究方法
先行研究を参考に抗酸化物質の摂取が健康の有用作用に及ぼす影響を評価するための実験系を検討した。
結果と考察
1) ODSラットに3週間の運動トレーニングを行うと同時に、ビタミンCを3段階の用量で飲料水に混和して投与した。後肢筋肉において運動トレーニング後のPGC-1や抗酸化酵素のmRNA発現レベル等を解析したが、ビタミンCが運動による有用な遺伝子応答を抑制することはなかった。2). Wistarラットに単回の運動負荷を行うと同時に、大量のビタミンCを強制経口投与あるいは腹腔内投与する系を用いて検討したが、ビタミンCが運動による有用な遺伝子応答を抑制することはなかった。
結論
今回の検討では、ビタミンCの大量摂取が運動の有用性を打ち消すという結果は得られず、他の抗酸化物質や抗酸化サプリメントについて評価を行うための実験系を確立することができなかった。次年度は、運動が重要な治療法であると同時に酸化ストレスが高まっている糖尿病時に着目し、糖尿病モデルラットを用いて検討するとともに、運動による遺伝子応答だけではなく持久力向上等を指標とした評価系の検討を予定している。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131054Z