腸内フローラ解析を基盤とした食品ナノマテリアルの安全性評価

文献情報

文献番号
201131053A
報告書区分
総括
研究課題名
腸内フローラ解析を基盤とした食品ナノマテリアルの安全性評価
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-食品・若手-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 友章(大阪大学 大学院薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉岡 靖雄(大阪大学 大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、食品中ナノマテリアルの安全確保を目的に、これまで手付かずであったナノマテリアルの腸内環境や腸内細菌フローラに対する影響を解析する事である。本年度は、代表的な食品ナノマテリアルである非晶質ナノシリカとナノ銀・サブナノ銀の腸内細菌影響を評価した。
研究方法
種々濃度のナノシリカ、ナノ銀・サブナノ銀をマウス(BALB/c)に28日間経口投与し、経時的に糞を回収した。これから腸内細菌ゲノムを回収し、Terminal-Restriction Fragment Length Polymorphism (T-RFLP) 解析法を用いて腸内細菌の多様性の変動を評価した。
結果と考察
8種類の属の個体中の存在比率を解析した。その内、特徴的なものについて取り上げると、非晶質ナノシリカ投与によって、Lactobacillales(OTU657)は投与したシリカのサイズや表面性状に関わらず、割合が増加した。一方で、ナノ銀・サブナノ銀を投与したマウスでは、Prevotella(OTU137)は粒子サイズに関わらず、全ての群で消失していた。また、Lactobacillales(OTU332)はsnAg投与群で増加傾向にあり、Clostridium cluster XIはsnAg投与群で消失した。さらに、Clostridium subcluster XIVa(OTU940)はsnAg投与群においてのみ増加した。以上、ナノシリカや銀を投与する事によって腸内フローラが変動する可能性が示された。
結論
以上、ナノシリカや銀を投与する事によって腸内フローラが変動する可能性が示された。これらの事実は、ナノマテリアル適用群においてのみ認められたのではなく、今回適用した全ての群においてある程度の変動が認められた。今後は、こういった腸内フローラの変動と健康影響との因果関係を追求していく必要があろう。本研究のアウトプットとして得られる新たな方法論・基盤技術・成果は、我が国の知的財産の確保に資するだけでなく、「健康立国」としての我が国の国際的地位の向上にも繋がり、国内外を通じて数多くの人類の健康と福祉に貢献可能と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131053Z