食品安全行政における政策立案、政策評価に資する食品由来疾患の疫学的推計手法に関する研究

文献情報

文献番号
201131052A
報告書区分
総括
研究課題名
食品安全行政における政策立案、政策評価に資する食品由来疾患の疫学的推計手法に関する研究
課題番号
H23-食品・指定-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 健司(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 百瀬 愛佳(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 大西 俊郎(九州大学 経済学研究院)
  • 池田 奈由(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、我が国の食品由来疾患の負担を包括的に推計することである。食品安全行政では、食品衛生法に基づいて集計される食中毒統計、および感染症法に基づいて集計される感染症情報等をもとに食品安全確保対策を講じているが、疫学的視点に基づいた情報収集や施策の立案・評価は十分であるとは言えない。
研究方法
初年度は、日本の食品安全行政システムならびに科学的知見の伝達手法に関する状況分析を行うと共に、疫学的推計手法を用いて「食品由来疾患の負担(障害調整生存年:DALYs)」を算出するプロトコールの検証を行い、既存データの有無についてレビューを実施した。
結果と考察
患者調査データ、感染症情報データ、食中毒統計データ、国民生活基礎調査データ、人口動態調査等を用いて、食品由来疾患の被害実態を推計する手法を検討し、食品由来疾患におけるDALYs算出の実現可能性を検証した。さらに、Campylobacter jajuni/coliとギランバレー症候群等の疾患と関連する100以上の文献をレビューし、DALYs算出のための基礎データを収集した。また、日本の食品安全行政システムを俯瞰し、食品安全行政施策決定のプロセスにおけるステークホルダーとの関係を整理するとともに、WHO/FERGが示したpolicy situation analysisのプロコール案に対する予備的な検証を実施した。2002年以来、WHOが“Global Burden of Disease(グローバルな疾病負担推定)”を公表しているが、食品由来疾患によるDALYsを求めるという試みは世界的にもまだ少なく、日本ではまだ行われていない。
結論
包括的な食品由来疾患の負担の推計は、日本の食品安全行政システムの全体像を把握すると共に、食品安全行政の施策の科学的データに基づいた評価を可能にし、今後の施策策定のための基盤整備に資するものである。更に、政策立案における優先順位付けなど、効率的な食品安全行政の推進のためにも必要な研究課題である。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131052Z