食品中の毒素産生微生物及び試験法に関する研究

文献情報

文献番号
201131049A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の毒素産生微生物及び試験法に関する研究
課題番号
H23-食品・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
池原 強(株式会社トロピカルテクノセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 安元 健(日本食品分析センター)
  • 玉那覇 康二(沖縄県衛生環境研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,111,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
熱帯・亜熱帯域の魚類は食物連鎖を介して、有毒渦鞭毛藻の毒シガトキシン(ciguatoxin、CTX)を蓄積し、食中毒(シガテラ)の原因となる。国内では、従来の主発生地である沖縄から九州・本州沿岸域にまで拡大している。世界的にも水産物流通の拡大・多様化によって発生地が拡大し、推定患者数は毎年2~10万人に達している。本研究では、シガトキシン毒組成既知の標準毒混合試料と主要成分の精製標準毒を作製し、LC-MS/MS分析法によるCTX類の同定・定量法を確立する事を目的とする。
研究方法
以下の項目の検討を行った。
①シガテラ毒魚の蒐集
②シガテラ魚の処理法の検討
③シガテラ毒の有無の検査
④試料作製の検討
結果と考察
有毒魚を効率的に蒐集するために各漁協、漁連、仲卸業者などに依頼し、大型個体を中心に蒐集を行った結果、全魚種総個体数54個体、総重量334.4 kgのシガテラ魚を蒐集した。蒐集魚の魚種・サイズを限定したことで、CTXs標準毒混合試料作製に必要な原材料を効率よく確保することが出来た。シガトキシン類が熱安定性なことに着目して、魚体を丸ごとオートクレーブ処理し、抽出・精製のためのシガテラ魚の処理法を検討した結果、従来の4?5分の1程度に処理時間を短縮し、作業効率を著しく高めることができた。
蒐集した魚40個体について、LC-MS/MSによるCTXs分析を行った結果、CTXsが検出された個体数は37個体(92.5%)であった。CTXs毒組成と含量が決定された標準毒混合試料作製に適した抽出、精製法としては、溶媒分配後の、フロリジル、C18逆相カラム処理が有効なことを確認した。さらに2-3回のカラムクロマト処理を追加すれば、混合毒標準品としての使用が可能な純度に到達している。
結論
平成23年度は、54個体(総重量334.4kg)のシガテラ魚を蒐集した。抽出・精製のためのシガテラ魚の処理時間を従来の4?5分の1程度に短縮し、作業効率を著しく高めることができた。蒐集した魚について、LC/MS/MSによる分析を行った結果、92.5%の個体でCTXsが検出されたことから、CTXs標準毒混合試料作製に必要な原材料を効率よく確保することが出来た。標準毒混合試料作製に適した抽出、精製法としては、溶媒分配後のフロリジル、C18逆相カラム処理が有効なことを確認した。次年度以降は処理量を拡大し、各機関への長期間の供給を可能にする。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131049Z