野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201131045A
報告書区分
総括
研究課題名
野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究
課題番号
H23-食品・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高井 伸二(北里大学 獣医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 門平 睦代(帯広畜産大学 畜産生命科学部門)
  • 青木 博史(日本獣医生命科学大学 獣医学部)
  • 村田 浩一(日本大学 生物資源科学部)
  • 前田 健(山口大学 農学部 )
  • 小野 文子(社団法人 予防衛生協会)
  • 山本 茂貴(国立医薬品食品研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、「野生鳥獣由来食肉の安全性確保」のために、野生動物の生態学者、各野生動物の専門家、行政経験者、疫学者、疾病診断の専門家を組織とし、現地調査やアンケート調査を通じて「野生鳥獣由来食肉」に関する全体像を把握し、さらに、行政のネットワークを利用して野生動物の採材、病原体保有状況の調査、疫学的背景に基づく科学的な野生動物由来肉のリスク評価を行い、「安全性確保のためのガイドライン」を作成し、適正なリスク管理措置を提言することを目的としている。
研究方法
イノシシ、ニホンジカの生息状況、被害状況及び肉利用に関するガイドラインに係る資料を環境省、農水省、地方自治体及び関係機関から収集した。また、食肉、内臓の処理方法に関するデータ収集を開始した。シカ及びイノシシ血清における細菌性並びにウイルス性疾病に対する抗体の多検体検査法を開発した。野生獣肉からの細菌性、ウイルス性並びに寄生虫の分離或いは同定検査等を実施した。
結果と考察
公表されているGPSデータを利用し野生動物(鹿とイノシシ)の分布を可視化した。70年代と2000年代の分布を比較することで、鹿とイノシシの生息地域が大幅に拡大していることがわかった。北海道と栃木県をモデル地区として、フィールドでのネットワークを確立し、材料の採取及び病原体診断のための体制を構築した。シカ血清を試料とした豚丹毒抗体検査法を検討した。野生鴨類の食肉利用に関する飲食店および直販業者の情報をインターネット等を用いて収集した。イノシシにおけるE型肝炎、日本脳炎ウイルス並びにオーエスキー病ウイルス検査法を確立した。さらに、山口県におけるイノシシとシカの採材のためのネットワークを確立した。北海道、関東、九州地区のシカ、イノシシのサンプルを中心に、ヒトに食中毒を引き起こす細菌と寄生虫の検索を微生物学的手法と病理学的手法を用いて行った。野生鳥獣食肉による海外及び国内の食中毒の発生状況調査を検索し、リストを作成した。野生鳥獣に保菌・感染を引き起こし、更にヒトに感染する人獣共通感染症、家畜伝染病などの疾病の一覧作成し、自治体等で作成されている野生鳥獣食肉の処理ガイドラインを収集・整理した。
結論
野生鳥獣の食肉のリスク分析結果を提示できれば、その利用を促進させ、農林産物の被害対策を目的とした野生鳥獣の管理を進めることが可能となる。

公開日・更新日

公開日
2012-06-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131045Z