食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201131030A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究
課題番号
H22-食品・一般-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 天倉 吉章(松山大学薬学部)
  • 杉山 英男(帝京平成大学健康メディカル学部)
  • 芦塚 由紀(福岡県保健環境研究所 保健科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
67,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品を介した有害化学物質の摂取量推定値は,人の健康リスク管理に係わる施策設定の基礎データであり,これを幅広く正確に求めることが食の安全のために不可欠である.種々の化学物質のヒトに対する暴露及びそれに伴う健康影響リスク評価と低減を目的とし,食品からの有害物質摂取量評価に係る研究を実施した.本研究は,摂取量推定研究,摂取量推定のための方法論確立研究,摂取量推定を目的とした分析法開発研究の3つに大別されるが,相互に関連している.
研究方法
トータルダイエット(TD)試料分析による有機塩素系農薬類,PCBs,有機リン系農薬類,金属類,ダイオキシン類,放射性物質の摂取量を推定した.魚介類ならびに弁当中のダイオキシン類濃度実態も調査した.メチル水銀を含む有機水銀をフェニル誘導体化後GC-MS(/MS)で分析する方法を開発し,性能評価を行った.食品中の有害物質分析結果のデータベースを解析し,今後摂取量評価を実施していく化学物質の候補を選択した.ダイオキシン類のバイオアッセイ法である,高感度CALUXアッセイを畜産物に適用したときの性能を評価した.水酸化PCBの抽出法を検討した.多環芳香族炭化水素(PAHs)分析に使用する内標準物質,精製カラムを検討し,ウィスキー及び魚燻製食品で性能を評価した.魚試料中の有機臭素化合物の実態調査及び摂取量推定を行った.
結果と考察
放射性物質以外の有害物質摂取量には大きな変化は認められなかったが,放射性セシウム摂取量は原子力発電所事故後に増加していた.有害物質の摂取量推定を継続あるいは停止するための判断基準に関わる検討を開始した.ローズマリー中に存在するダイオキシン様活性を持つ2合物を単離同定した.水酸化PCBの抽出には,高速溶媒抽出法が有効であった.PAHs16種のウィスキーからの添加回収は良好な真度と併行精度が得られたが,魚燻製食品の添加回収では一部のPAHsで真度が高くなる現象が認められた.魚介類個別食品試料12検体中4検体の魚介類からデカブロモジフェニルエタンが検出された.
結論
3方面から研究を進めることにより,広範囲の有害化学物質の摂取量を精密に推定する方法論を確立し,食品中の化学物質による健康影響が正しく評価されることが期待される.

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131030Z