食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性向上に関する研究

文献情報

文献番号
201131028A
報告書区分
総括
研究課題名
食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性向上に関する研究
課題番号
H22-食品・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
河村 葉子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 六鹿 元雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 阿部 裕(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具は、食品衛生法の食品、添加物等の規格基準によりその安全性が担保されているが課題も多い。そこで、科学的な研究をもとに規格基準を見直し安全性の向上をはかる。
研究方法
 海外の法規制や文献等を収集するとともに、試験法の開発、試験条件の設定、各種製品の調査等の試験を行った。
結果と考察
 合成樹脂製器具・容器包装では、蒸発残留物試験における油脂及び脂肪性食品の溶出量補正係数を検討し、油脂類には1、脂肪性食品には原則として2、科学的根拠があれば3または4の補正係数を提案した。また、個別規格未設定の合成樹脂にも蒸発残留物試験は必須であり、油脂及び脂肪性食品にはオリーブ油溶出試験が適当と判断した。さらに合成樹脂製器具・容器包装の蒸発残留物試験に関わる各項目について改正原案を作成した。
 ゴム製器具・容器包装の蒸発残留物試験では、食品との接触温度が低く接触時間も短い場合には試験条件40℃10分が適当であった。この条件で市販手袋の蒸発残留物量を測定したところ、4%酢酸で多いものがあり、試験操作中に生成した酢酸カルシウムが原因と解明した。そのため、規格値を超える場合にはクロロホルム可溶物量や酢酸カルシウム量の補正などが必要である。今回提案の試験条件は現行よりかなり厳しいことから、規格値は200μg/cm2が妥当と結論された。
 乳幼児用玩具は、2009年改正の欧州玩具指令の有害物質規制の対象である発がん性物質の塩化ビニルモノマー、ベンゼン、1,3-ブタジエン、アクリロニトリル等について、ポリ塩化ビニル及びスチレン系樹脂等の玩具の残存量及び溶出量を調査した。残存はかなり認められたが、溶出は微量の1検体のみであった。
 器具・容器包装や玩具に残存する化学物質については、金属製焼き網被膜中の6価クロム試験法の検討及び実態調査、シリコーンゴム製調理器具から食品への環状ポリジメチルシロキサンの移行、ポリカーボネート製品中のトリエチルアミン及びトリブチルアミン分析法の改良、並びにICP-MSを用いた合成樹脂に含まれる有害金属の分析法を検討した。
結論
 本研究で得られた規格基準や試験法の見直し案、市場品の調査結果等は、食品衛生行政の推進に大きく寄与するとともに、器具・容器包装や玩具の安全性向上に大きく貢献するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131028Z