食品中の病原ウイルスのリスク管理に関する研究

文献情報

文献番号
201131026A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の病原ウイルスのリスク管理に関する研究
課題番号
H22-食品・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
野田 衛(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 斎藤 博之(秋田県健康環境センター 保健衛生部)
  • 鈴木 善幸(名古屋市立大学大学院 システム自然科学研究科)
  • 本村 和嗣(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 横山 勝(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 片山 和彦(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 李 天成(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 岡 智一郎(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 村上 耕介(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
22,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中の病原ウイルスのリスク管理手法の確立し,食品媒介ウイルス感染症による国民の健康被害の軽減に資することを研究目的とする。
研究方法
国立研究機関,大学および19地方衛生研究所と共同で,(1)食品からのウイルス検出法の開発・標準化,(2)ウイルス性食中毒の検査体制の強化,(3)食品,動物,環境の汚染実態調査と分子疫学的研究,(4)食品媒介性ウイルスの疫学的,基礎的研究を実施した。
結果と考察
パンソルビン・トラップ法により実際の食中毒事例の関連食品からノロウイルス(NoV)を検出し、原因食品を特定できた。ACP微粒子を用いた食品検査法の適応食品の拡大化を図った。フキトリ等の清浄な検体からのウイルス濃縮法を改良した。キメラ型NoVに対応したPCR系を開発した。NoV迅速遺伝子型分別システムの分析方法を検討した。NoV,サポウイルス(SaV)、E型肝炎ウイルス(HEV)のVLP,抗血清の作製を継続した。蛍光マルチプレックスPCRおよびリアルタイムPCRによる胃腸炎ウイルスの同時検出法を開発した。ヒト糞便由来ウイルス汚染指標としてカキ中のFファージ検出法を検討した。2011年のA型肝炎ウイルスの分子疫学を実施し、同ウイルスの高感度PCR法を開発した。イノシシや豚の肉、肝臓からHEVを検出した。イノシシから検出されたHEVは地域特異的、豚から検出されたHEVは養豚場に特異的な傾向にあった。HEV汚染率は養豚場ごとに大きく異なった。NoV全ゲノム分析を継続した。2010/11年流行期はGII.4の2006亜型および 2009a亜型が主流であった。SaVのカプシド蛋白質の抗原部位や機能部位と予測される部位を明らかにした。下水や食品のNoV等の汚染実態調査を継続した。下水や食品からNoV,SaV,アイチウイルス(AiV),エンテロウイルス,アデノウイルス,A群ロタウイルス(HRV),ボカウイルス等が検出された。二枚貝関連食中毒事例からNoV以外にSaV,AiVなどが比較的高頻度に検出された。地域で散発例由来ウイルスと集団発生由来ウイルスに強い関連性があった。
結論
食品媒介性ウイルスの検査体制の強化が図れるとともにリスクプロファイルに有用な多くの知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131026Z