携帯情報端末を用いた作業・安全分析による造船・建設業におけるリスクアセスメントシステムの構築と展開に関する研究

文献情報

文献番号
201130015A
報告書区分
総括
研究課題名
携帯情報端末を用いた作業・安全分析による造船・建設業におけるリスクアセスメントシステムの構築と展開に関する研究
課題番号
H23-労働・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
篠田 岳思(九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 太氏(九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門)
  • 小山田 英弘(北九州市立大学国際環境工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年の建造量の増加と国際的な競争を背景にして,造船工場では生産性を向上させ,工場全体のスループットを改善していくことが不可欠である。
 これまでも造船業や建設業での重作業を伴う安全管理の現場において,リスクアセスメント活動は広く行われているが,一般には「起こりやすい・にくい」等の感性尺度に基づく評価方法が取られており,安全意識の高揚について一定の効果は上げているが,安全向上への効果が不明な点があり,さらに有効な方法が求められている。本研究では, PDA(携帯情報端末)を用いた作業・安全分析法を用いてリスクアセスメントシステムとして発展させ,実際の作業現場で試験的に実施しながら研究を進める。
研究方法
 作業および作業に関する不安全状態として作業者行動や作業環境等を同時に観測して,PDAに観測状況の入力を行い,作業に潜む不安全状態を抽出するツールの開発と適用研究を行う。この作業・安全分析法はIE(Industrial engineering)の瞬間観測法の理論に基づいており,ランダムな時間に作業者行動の瞬間観測値を記録し,作業毎の頻度を集計して作業・不安全状態の割合を推測する。研究ではPDA作業・安全分析法をリスクアセスメントシステムとして発展させる。なお,安全対策の検討にはモックアップ実験による歩行路環境評価ついても考慮する。
結果と考察
(1)リスクアセスメントツール
 作業者にはRA(Risk Assessment)は必ずしも馴染みがなくリスクアセスメントシステムを現場に適用し易いように工夫をしていく必要があり,1)PDA入力の課題,2)作業・安全観測項目作成の課題,3)RAの運用の課題としてハザード・対策展開法の開発,を設定して取り組んだ。
(2)安全歩行のためのスラット間隔の検討
 切断工程ではスラットコンベヤ上の歩行が課題となるが,安定な歩行路環境である平坦路上の歩行の際に現れるゆらぎの特徴量との不一致度による比較を行い,歩行路環境の安全性の評価を行うことにより,リスク軽減策として,スラット間隔の変更と歩行角度への提案について検討した。
結論
 本研究では,作業安全のためのリスクアセスメントのシステム構築を行い,実際の建造現場へ導入するための課題の設定を行い検討を行った。PDA作業・安全観測ツールの改良により,造船所現場での運用性を高める改善を行った。また,リスクアセスメント手順書の整備によるリスクアセスメントの定型化を行い,実際の建造現場の切断行程に導入し運用を行い有効性を確認した。

公開日・更新日

公開日
2012-11-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201130015Z