職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究

文献情報

文献番号
201130002A
報告書区分
総括
研究課題名
職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究
課題番号
H21-労働・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 謙(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 鉄平(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 東 敏昭(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室)
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 大神 明(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室)
  • Park Eun-Kee(パク ユンキ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • Vanya Delgermaa(ヴァンヤ デルジェルマ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 上原 正道(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 和田 耕治(北里大学 医学部公衆衛生学)
  • 森兼 啓太(山形大学 医学部付属病院検査部)
  • 丸山 崇(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 西埜植 規秀(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 柳 延亮(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザの流行に備え、各企業においては、感染予防や事業継続に対する準備を行っておく必要がある。しかしながら、危機管理計画を始めとする事前の準備は、全ての企業で等しく実施可能な訳ではなく、特に専門資源が不足する中小企業においては対策の遅れが懸念される。そこで、小規模企業や中小企業支援団体における対策の現状や課題を評価すること、および嘱託産業医の中規模企業への関わりを支援することを目的に、各種調査を実施した。
研究方法
小規模企業の調査では、①小規模企業6社を対象としたインタビュー調査を実施し、平成22年度に調査を実施した中規模企業18社と合わせて、企業規模別の課題を整理した。中小企業支援団体の調査では、②商工会議所等、5つの中小企業支援団体を対象としたインタビュー調査を実施した。嘱託産業医の中小企業への関わりの支援では、③嘱託産業医向けの対策マニュアルを作成した。また、流行期における企業の意思決定の支援として、④企業の意思決定に必要な情報整理のためのツールを作成した。
結果と考察
①中小企業においては、文書化された危機管理計画がなくても、流行期に経営者に正確な情報が伝われば、柔軟で迅速な対策を取りうることが分かった。しかしながら、中小企業においては、情報収集に関する課題が、特に企業規模が小さくなるほど多くみられており、中小企業支援団体や嘱託産業医の関わりの重要性が示唆された。②支援団体の調査においては、各団体のネットワークを使って、流行期に必要な情報を中小企業に提供出来る可能性が示唆された。ただし、これらの団体には情報を生み出す機能はないため、この機能を研究機関や行政機関等が補完することが望まれる。③嘱託産業医の中小企業への関わりの支援として、トレーニング教材、および実際の新型インフルエンザ流行に際して、円滑な嘱託産業医活動を支援するためのツール集を作成した。④流行期に感染予防策を実施するに際して、企業の意思決定に必要な項目を、2009年の新型インフルエンザ流行時の課題などをもとに抽出し、それぞれに必要な情報について検討を行った。
結論
流行期に中小企業に適切な情報がもたらされ、経営者を中心とする柔軟で迅速な対策を実施すべく、支援団体、嘱託産業医、および行政機関の中小企業への関わりの強化が望まれる。なお、ツール等の成果物は研究班ホームページに掲載し、閲覧者が自由に使用できるようにした。

公開日・更新日

公開日
2012-06-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201130002B
報告書区分
総合
研究課題名
職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究
課題番号
H21-労働・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 謙(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 鉄平(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 東 敏昭(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室)
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 大神 明(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室)
  • Park Eun-Kee(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • Vanya Delgermaa(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 上原 正道(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 和田 耕治(北里大学 医学部公衆衛生学)
  • 森兼 啓太(山形大学医学部付属病院 検査部)
  • 丸山 崇 (産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 西埜植 規秀(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 栁 延亮(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザの流行に備え、各企業において感染予防や事業継続に対する準備を行っておく必要がある。しかしながら、危機管理計画を始めとする事前の準備は、全ての企業で等しく実施可能ではなく、特に専門資源が不足する中小企業においては対策の遅れが懸念される。また、企業対策が機能するためには、従業員個人への対策の浸透も重要となる。そこで、2009年からの3年間、企業対策や個人の意識に関する各種調査を行ってきた。
研究方法
企業対策調査として、2009年7~9月に1010社を対象にした質問票調査を、2009年9月~2011年9月に42社(大規模18社、中小規模24社)を対象にしたインタビュー調査を実施した。中小企業への外部支援の調査として、2011年4~9月に5つの支援団体(商工会議所等)を対象にしたインタビュー調査を実施した。個人のリスク意識調査として、2009年11~12月に大企業7社の従業員16,627名を対象とする質問票調査を実施した。
結果と考察
いずれの企業においても、①最終意思決定者、②情報の入手、③感染管理、④事業継続に及ぼす影響評価に関する準備が共通して求められることが分かった。
大企業においては、流行に際して事前の危機管理計画を修正しながら柔軟な対応を取っていく体制が期待できるが、国のレベルから病原性に対する確実で迅速な情報が提供されることが重要となる。中規模企業においては、詳細な事前計画がなくても、経営者を中心に臨機応変な対応が取られることが期待できるが、正確な情報が取引先の大企業や外部支援団体から提供されることが重要となる。ただし、外部団体には情報を生み出す機能はないため、この機能を研究機関や行政機関等が補完することが望まれる。
大企業では産業医が情報の解釈等を通じて企業の意思決定に重要な役割を果たしていたが、中小企業では専門職の関わりは希薄であった。中小企業の対策推進に向けては、中規模では嘱託産業医の関わり、小規模では地域産業保健センター機能の強化が望まれる。
個人のリスク意識では、「発熱時の出勤自粛」など優先度が高い対策の意識が低いことが分かった。感染拡大防止策に関しては、職制教育などラインを使っての情報周知を図るなどの工夫が求められる。
結論
流行期に各企業が適切な情報を入手し、経営者を中心とする柔軟で迅速な対策を実施すべく、国・企業・関係団体の各レベルにおける機能強化が求められる。

公開日・更新日

公開日
2012-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201130002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
大企業から中小企業にわたる種々の規模の企業において、質問票およびインタビュー調査を実施し、企業規模に応じた新型インフルエンザ対策上の課題、および各企業が共通して備えるべき準備を明らかにした。また、上記の調査に加えて実施した中小企業支援団体の調査を通じて、中小企業においても実施可能な対策モデルを検討した。
臨床的観点からの成果
感染リスクに応じて職場で備えるべき感染予防策の程度は異なってくるため、職場の感染リスクを簡易的に評価し、どのレベルの対策を行うべきかが視覚的に分かるツールを開発した。
ガイドライン等の開発
新型インフルエンザ流行期における各企業の実例を基に、嘱託産業医向けの新型インフルエンザ対策マニュアルを作成し、研究班ホームページ上に公開した。また、企業の意思決定のために必要な情報を整理し、産業医等の専門家が流行前から流行期に活用できるようホームページ上に公開した。
その他行政的観点からの成果
職域における新型インフルエンザ対策の普及促進や流行期の対応において、行政が果たすべき役割を、総括研究報告書の中で最終提言としてまとめて報告した。
その他のインパクト
H21年度の中小企業研究会において、中小企業における新型インフルエンザのあり方につき、講演を行った。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
12件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
和田耕治、中尾智、奈良井理恵
新型インフルエンザに関する米国CDCの一般職場におけるガイダンス 2009
労働の科学 , 12 , 9-13  (2009)
原著論文2
和田耕治、鈴木英孝、今井鉄平他
新型インフルエンザ発生時に企業に求められる感染対策に関する意思決定とその根拠となる情報
産業衛生学雑誌 , 54 , 77-81  (2012)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201130002Z