新たな概念に基づく超高齢社会の医師需給の研究

文献情報

文献番号
201129056A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな概念に基づく超高齢社会の医師需給の研究
課題番号
H23-医療・指定-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大島 伸一(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
  • 平尾 智広(香川大学 医学部)
  • 清水 佐知子(大阪大学 医学部)
  • 吉川 徹(財団法人労働科学研究所)
  • 小塩 篤史(日本医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、超高齢社会における医療のあり方や医療需要を検討し、定量的な医師数を推計すると共に、求められる医療提供体制の質的転換への方向性も検討することである。
研究方法
1.医師需給の再推計
「2010年度医師・歯科医師・薬剤師調査」「医療施設調査」などの新しい官庁統計データを基にして、医師需給に関して再推計を行った。
2.診療科・地域格差についての現状把握とシミュレーション(精緻化)
公的統計などを用いて、診療科単位・地域単位での現状把握を行った。
3.地域特性に応じた医師需給の把握
国土交通省の都市圏分類を使用し、各地域での医療需要(の現状把握並びに代表的な市区町村を用いた将来推計を行った。
結果と考察
【発見と提言】
1.直接需要を将来推計し、それをもとに供給量を決めることは困難である。医師の推計は頭数の推計ではなく、医師のキャリアを勘案した医師の養成と教育を考慮する必要がある。
2.複数疾患を抱え、いわゆるケアサイクルに入る高齢者の割合が増加しており、需要の変質がある。新しい老人医療のシステムの構築とそれを担う医師の教育と研修の必要がある。
3.就業率のMカーブが深化しており、女性、男性ともに全体的な就業率が低下傾向にある。学・専門学会が各専門科の医師のキャリアパスの情報を提供するべきである。
4.地域によって医師供給と需要構造が異なり、同じ中小都市や僻地であっても、その状況は大きく異なる。
5.大都市郊外の医師供給が危機的状況にあり、急激な需要増と供給不足に直面している。第2の医療崩壊を防ぐべく大都市郊外の医師需給の計画を作るべきである。
6.専門科は、政策誘導・女性医師の動向によって、勝ち組・負け組が分かれている。
7.就業者に占める医療福祉産業従事者の割合は増加しており、数少ない雇用者数が増加している分野の一つである。医療福祉セクターの全産業界の位置づけを国民的議論で考える必要がある。
結論
高齢社会における必要医師数の推計には医療提供体制そのものの再構築が必要である。本研究では、高齢社会における医療のあり方について、以下の前提を強調する。1.時代によって医療は変化する、2.提供可能な資源は有限である、3.需要に供給を合わせる、4.医療の形が決まらなければ医療需要は決まらない、5.医療には公共性がある。
超高齢社会における新たな医療提供体制を構想し、位置づけていくことが今後重要である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129056C

収支報告書

文献番号
201129056Z