終末期医療のあり方に関する調査手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201129055A
報告書区分
総括
研究課題名
終末期医療のあり方に関する調査手法の開発に関する研究
課題番号
H23-医療・指定-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
池上 直己(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成22年12月に策定された「終末期医療のあり方に関する懇談会報告書」における指摘を踏まえ、従来の調査を大きく見直した新たな調査手法を開発・提言することにより、平成24 年度実施予定の全国調査で終末期医療に対する国民の考え方及びニーズをより適切に把握するとともに、今後の終末期医療に関する施策に資することである。
研究方法
新たな調査票を作成するために、内外の文献をレビューし、研究班において検討を行った。次に、一般国民2000 人を対象に、これまで国が採用してきた郵送調査と同じ形式で調査した。医師については、日本老年精神医学会(以下、老年精神と略)と日本救急医学会(以下、救急と略)の協力を得て、会員に対して郵送調査した。
結果と考察
<調査票の作成>家族の行う延命医療の判断などに関する新たな設問を設けて整理した他、想定上の終末期の状態像として、末期がん、慢性の重い心臓病、末期の認知症、交通外傷後の植物状態の4つとした。延命医療の選択肢として、「中止」ではなく、「開始」の有無に改めた。意向についての設問を「本人」だけに留め、「家族」を割愛した。治療の場の選択肢として、「病院」、「介護施設」、「在宅」の3つに整理した。<回収率>一般国民は48.3%、老年精神は35.1%、救急は50.4%であった。<調査結果>一般国民において、自分が判断できない場合に53.4%が家族の代表者、35.7%が家族における話し合いで決めてほしいという回答であった。終末期医療を受ける場として「在宅」を選んだ割合は、最も高い末期がんでも35.7%であり、末期認知症では10.8%に留まった。延命医療の中で開始が望まれる割合が高かったのは、肺炎に対する抗生剤治療と水分補給であった。医師は、一般に延命医療により積極的であり、老年精神の方が救急より、こうした傾向が強かった。
結論
一般国民における回収率を上げるために、対象年齢を60 歳以上に限定するか、あるいは訪問面接調査に改めることである。医師は専門領域によって回答が異なっていたことを踏まえて、医療機関を層別化し、当該機関において終末期医療に関わる医師が回答するように改め、看護師に対しても同様な対応を行うべきである。本調査研究で開発した調査手法は、平成24 年度に予定されている国の調査において参考になろう。

公開日・更新日

公開日
2012-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129055C

収支報告書

文献番号
201129055Z