医療安全に関連する臨床指標の開発と実証に関する研究

文献情報

文献番号
201129050A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全に関連する臨床指標の開発と実証に関する研究
課題番号
H23-医療・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 修平(全日本病院協会)
  • 西澤 寛俊(全日本病院協会)
  • 北澤 健文(東邦大学 医学部社会医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 1990年代後半以降、医療安全は先進各国の重要な政策課題である。医療安全対策の効果判定には、医療事故の様態別発生頻度を明らかにする必要がある。本研究では、医療安全関連の臨床指標とDPCデータを用いて医療事故(疑いを含む、以下同じ)の様態別頻度を明らかにすること、様態により適切な対応策を明らかにすることが可能かを検証する。
研究方法
 臨床指標を設け、医療機関から入手したデータを解析、公表することで医療の透明化と質向上を図る試みが各国でなされている。最近は、医療安全等の医療機能別にモジュールを設け、1組のデータセットとして評価する試みが米国AHRQ等を中心に行われている。日本では、全日本病院協会が臨床指標に基づく質評価事業を実施している。本研究では、(1)米国AHRQ等が開発した医療安全指標をレビューし、日本で利用可能な医療安全関連の臨床指標を明らかにする、(2)全日本病院協会の質評価事業で収集されたDPCデータを基に、参加病院の医療事故の様態別発生頻度、病院の基本的属性との関連等を明らかにする、(3)医療事故様態に応じた対応策の検討、を行う。
結果と考察
 米国AHRQのPSI(Patient Safety Indicator)を中心に医療安全に関わる臨床指標の文献レビューを行い、算出可能性を検討した。PSIは主に潜在的に予防可能な合併症に着目していて、その算出マニュアルでは、各指標を定義するICD‐9CMコード等のリストが示される。DPCデータには入院後発症疾患名と対応するICD‐10コードが格納されており、これらを用いて算出を試みた。DPCデータを用いて病院レベルのPSI20指標の算出が可能であることが明らかになった。
 また、米国最大の患者満足度調査会社であるPress Ganey社は、International Quality Indicator Project(IQIP)を世界18カ国の参加の下に運営している。日本では2006年以降、全日本病院協会が窓口になり9病院が参加している。香港で開催された医療の質と安全に関する最大規模の学会であるISQua(International Society for Quality in Healthcare)を利用して、各国のIQIP担当者にヒアリング調査を実施し、各国の臨床指標利用状況、情報収集と公開状況等を明らかにした。
結論
 本研究により、DPCデータからPSI等医療安全に関する指標の算出が可能であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201129050Z