医療事故発生後の院内調査の在り方と方法に関する研究

文献情報

文献番号
201129049A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故発生後の院内調査の在り方と方法に関する研究
課題番号
H23-医療・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 修平(社団法人 全日本病院協会)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
  • 小谷野 圭子(練馬総合病院)
  • 西澤 寛俊(社団法人 全日本病院協会 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内の医療機関における、重大事故発生後の原因究明体制および方法の標準化は十分になされておらず、検討すべき課題が数多く存在する。本研究では、アンケート調査およびヒアリング調査を通して、医療機関が重大な医療事故に遭遇した場合に行う院内事故調査の現況、課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
アンケート調査は、3890病院を対象に無記名自記式調査を実施した。解析は(1)先行研究との縦断比較、(2)病床規模別比較、(3)医療事故報告書の作成過程の3つの観点より行った。ヒアリング調査は、アンケート調査票においてヒアリングへの協力を募り、同意の得られた100病院の中から対象病院を抽出して半構造化面接法による調査を行った。
結果と考察
調査票の回収率は32.4%であった。縦断比較の主な結果は、(1)3年以内に重大医療事故経験した割合は不変、(2)療安全管理者を配置している病院が約20%増加、(3)「当事者以外に、院内に医療事故に関連した医療分野の専門家がいないこと」と「事故当事者のケア」に困った割合が約10%ずつ増加したことである。病床規模別比較の主な結果は、大規模病院ほど、(1)原因究明時の外部委員招致の割合が高かった。小規模病院ほど、(2)原因究明時に「院内に医療安全、事故調査の専門家がいない」ために困った割合が高かった。医療事故報告書の作成過程の主な結果は、ほぼ全ての病院が医療事故の概要を記載していたが、(1)当事者・関係者・事故調査委員会の匿名化の程度、(2)有責判断、(3)再発防止策の実施状況などについては、病院間で結果が異なった。ヒアリング調査は、現在調査実施途中であるため、次年度の報告書において結果を報告する。
結論
医療安全管理への関心が高まりつつある一方で、当事者である当該病院が行う調査の中立性の担保や、報告書の取りまとめ方法など、依然課題として残されている。病床規模の小さい病院では、専従の医療安全管理者を配置し、外部の専門家を招致すること等は困難であり、医療事故の原因究明や再発防止は課題の多いことが考えられる。今後は、原因究明時における病院外の支援体制を構築すること、医療安全管理者の教育・研修などを活発化させること等が重要である。また、どのような情報を医療事故報告書に含めて、どのような基準に基づいて公表するのかなどの統一された規準を定めることが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2012-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201129049Z