診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究

文献情報

文献番号
201129048A
報告書区分
総括
研究課題名
診療関連死の中立的原因分析と再発防止に関する研究
課題番号
H23-医療・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高本 眞一(社会福祉法人 三井記念病院)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 哲(東京逓信病院)
  • 山口 徹(虎の門病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,060,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、医道審議会は警察で刑事処分を受けた医療事故の事例に限り、後を追うかたちで行政処分を行っているが、中立的死因究明調査の後の行政処分機関についての詳細かつ具体的な議論はなされていない。現在、医療の専門家で構成される第三者機関による原因究明再発防止のために早期の法制化を考えていかなければならない。これと同時に教育的行政処分機関として新しく医療安全倫理審議会(仮称)を確立しなければいけない。本研究では、この医療安全倫理審議会の在り方を明確にするとともに、取り巻く組織や具体的な運用方法など、これらのシステムの全体像を提案していきたい。
研究方法
① 現在公表されている実際の医療事故の事例を取り上げ、新しい行政的教育的処分を考慮しながら、医療安全倫理審議会の問題点を明らかにし、制度のイメージをより明確にする。
② 外国(英国・米国など)で活用されている制度を調査し、これを参考とする。特に英国における医療事故報告制度をGMC,NHSから直接最新のデータを入手して、本邦に適応できる教育的行政処分のあり方を検討する。
結果と考察
過去の医療刑事事例を振り返って分析してみると、たまたま担当した医療者が刑事処分を受けて終了している事例が認められるが、むしろ事例が発生した場所での医療システムを改善したほうが良いと考えられるものも多くあることが認識された。英国を中心に外国での医療事故報告制度ならびに処分制度を研究して、本邦に適応可能で、医療の質の向上、事故当事者の教育を目指した新しい教育的処分制度の導入が必須であろうと考えられる。医療安全調査委員会案では重大な過失(故意に近い悪質な医療行為に関する死亡又は死産の疑いがある場合)と判定されるものに関しては警察への届出が必要であったが、独立した医療安全倫理審議会が稼働できれば、警察での取り調べでなく、医療安全調査委員会が調査し、医療安全倫理審議会での教育的行政処分が可能になり、刑事事件での処理は明らかな犯罪のみになると考えられる。
結論
医療事故における行政処分のあり方を改善するためには、現行の医道審議会ではなく、第三者機関としての医療安全倫理審議会の設立が必要である。ここにおいて独立した形で教育的行政処分を行うことができれば、当該施設での医療システムの改善並びに事故当事者の再教育を通して、さらなる医療の質の向上が可能となると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2012-05-16
更新日
-

収支報告書

文献番号
201129048Z