小児救急電話相談の実施体制整備および相談対応の充実に関する研究

文献情報

文献番号
201129047A
報告書区分
総括
研究課題名
小児救急電話相談の実施体制整備および相談対応の充実に関する研究
課題番号
H23-医療・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
保科 清(国際医療福祉大学 山王病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 桑原 正彦(医療法人唐淵会桑原医院)
  • 渡部 誠一(土浦協同病院)
  • 山中 樹(医療法人社団山中たつる小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児救急医療を少しでも緩和するため、小児救急電話相談(#8000)事業は、0.5次救急の役割に加え、子育て支援にも役に立つ。この目的を達成するためには「いつでも、どこからでも、すぐにつながる」電話相談であるべき。そのためには、深夜帯も含めて365日電話対応する必要がある。さらに、相談対応の質の向上も必要となるので、それらを充実させることを目的とした。
研究方法
#8000の深夜帯実施は、全国で13府県のみであり、人口や産業の少ない県では深夜帯開設が困難なため、複数県による連携も必要になる。複数県での連携には、相談内容の登録システムを統一しないと運営できないので、共通するシステム構築が必要になる。複数県で使えるシステムならば、全国の深夜帯をセンター化しても対応できることになる。#8000相談対応の質の向上には、相談員の研修と、対応マニュアルの作成が重要となる。研修は、民間電話相談会社に厚生労働省が委託して実施した。マニュアルは、市民共通の問題として放射能被爆の問題もあるので、平成22年度作成の対応テキストへの補遺として作成することにした。
結果と考察
#8000事業の深夜帯実施は、東日本大震災被災3県の内、宮城県が開設してくれた。その他の県では、単県事業としては多くの困難が伴うので、複数県で連携すれば可能となるであろう。そのような問題を「全国情報支援センター」を作って対応・支援する必要がある。
複数県連携のための相談対応登録システムを構築することができたので、全国的な統一センターも可能となる。相談員の研修は、民間電話相談会社に委託して行った研修が、今後の主要な研修内容となる。相談内容の検討は、各県で登録しているシステムが異なるため、困難を伴う。また、各地の救急対応医療機関情報にも大きな差があり、ほとんど役に立たないものから、かなり緻密に組まれた情報もある。放射線被曝に対する電話対応マニュアルは、補遺として発刊した
結論
#8000の電話相談に対応する相談員研修の内容もほぼ確定した。深夜帯を365日開設するためには、構築したシステムを使うことで、複数県連携でも全国統一した組織でも可能となる。少しでも早く、子どもたちのために深夜帯も含めて365日、全国で電話相談できることが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2018-06-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129047C

成果

専門的・学術的観点からの成果
小児救急電話相談(#8000)は、全国47都道府県で実施されている。#8000が充実し、全国的な認知度も高まれば、単なる感冒での救急受診を少なくできるし、子育て支援にも役立つ。#8000は0.5次救急であり、深夜帯と準夜帯で相談対応できるのが重要で、そのためには複数県連携をするか、国主導の全国情報支援センター(仮称)設置を考慮しなければすべての県が実施できない。
臨床的観点からの成果
熱が出ればすぐ救急受診するが、ほとんどの例で救急受診の必要がない。平成26年度の研究調査1週間(1,254名の保護者)で、電話相談の結果は緊急性がないと分かり、受診中止が445件(35.8%)あった。少なくとも電話相談した3分の1の救急受診を抑制できた。#8000がより市民に浸透すれば、不要不急の小児救急受診を少なくできる。その為には電話回線の増設などにより通話中を防ぐ必要はある。
ガイドライン等の開発
#8000相談員の研修と、相談対応の均一性を求め、平成22年度までに「電話相談対応テキスト」を作成した。今年度は、東日本大震災に関連した事項として、放射線被曝に関する相談対応マニュアルを、電話相談対応テキストの補遺として作成した。
その他行政的観点からの成果
小児救急医療への不要不急な救急患者の受診抑制が重要である。単なる受診抑制ではなく、市民にもう一つの選択肢としての#8000事業を確立する必要がある。平成26年度の吉澤研究班が6県での調査で、調査期間1週間で不要不急の受診を避けられた医療費は少なく見積もっても107万円、6県だけで年間5,600万円の削減につながるとされている。この積み重ねで、全国的となれば医療費の削減に少なからず寄与できる。
その他のインパクト
平成24年1月7日に、市民公開シンポジウム「平成23年度厚労科研保科班最終報告会」として、「いつでも、どこからでも、すぐにつながる#8000を目指して」研究報告会を全国町村会館で開催した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
平成24年1月7日市民公開シンポジウム開催

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201129047Z