病院情報システム端末からの安全なインターネット直接接続に関する研究

文献情報

文献番号
201129028A
報告書区分
総括
研究課題名
病院情報システム端末からの安全なインターネット直接接続に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-030
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山本 隆一(東京大学 大学院情報学環)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 直樹(九州大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 田中 勝弥(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 矢野 一博(日本医師会総合政策研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多くの医療機関ではレセプトオンラインや緊急安全性情報等、外部ネットワークへのアクセス要求が増大している。今後は患者の自らの診療情報へのアクセス希望も増加するであろう。しかし、プライバシーに機微な診療情報の安全管理には万全を期すべきで、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインでも外部接続は禁止していないが厳重な対策を求め、安易には外部接続できない。本研究の目的は、特別な専門知識のない医療機関が、適切かつ安全に接続するための要件定義した上で可能な方法を示し、ゲートウエイセンターを設置する場合の要件を明らかにする。
研究方法
昨年度実施した事例調査と医療機関へのインタビュー調査を元に研究班全員および研究協力者でブレインストーミングを行い、ニーズ分析と接続によるリスク分析を行った。またすでに診療情報システムをインターネット接続している大学病院と診療情報システム直接ではないが、診療現場にインターネット接続をしているPCを設置している大学病院の2病院でパケット解析装置(Cisco Systems社Service Control Engine)を用い現状分析をおこなった。その上でリスクに対して対応を検討し、指針案としてまとめた。
結果と考察
「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」ではインターネットへの接続を禁止はしていないが、扱いは不明瞭で、一般の医療機関が安易に接続できる状況ではない。本研究の目的はこのような事情に対し、ニーズとリスクおよび、その対策と結果として残る残余リスクを実証的院明確にし、ガイドラインのあり方やゲートウエイセンタの必要性などの、今後の施策に資する提言をまとめた。まず、自ら外部接続を管理する能力のない医療機関が利用できる信頼性の高いゲートウエイセンタの整備を誘導する必要があり、また、医療情報システムの安全管理のためのガイドラインをBCPの充実を含めて適切に改訂する必要がある。
結論
本研究により、管理要員の配置が可能な一定規模以上の医療機関では安全なインターネット接続が可能となり、診療端末から緊急安全性情報やEBM等に直接アクセスができ、情報伝達や資源のアップデートも迅速に行われる。大部分の診療所等では利用不可能だが、その場合は一括して管理を行うゲートウエイセンターが有効な解決方法となる。この要件を明確にすることで、医師会等が設置する場合の指針を示すことができる。さらに将来国際的にも整備が始まるであろうNWGNに対して医療ドメインからの要求を明確に示すことで厚生労働省の役割を明確にすることができた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
201129028B
報告書区分
総合
研究課題名
病院情報システム端末からの安全なインターネット直接接続に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-030
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山本 隆一(東京大学 大学院情報学環)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療情報システムの管理運用において漏洩があってはならないし、保存期間中の遺失も許されない。また診療情報システムで動作異常や可用性の低下のために、診療行為を阻害することは許されない。その一方で、医療情報のIT化の進展は、組織内だけで情報が閉じることを許さなくなっていることも事実である。多くの医療機関等は早晩、診療情報システムと外部のネットワークを一定の制限下であるにしても接続しなければならなくなることが予想される。本研究は医療機関等が外部のネットワークに接続した場合のリスクを分析し、適切な対応を提言として示すことにある。
研究方法
我が国および諸外国の現状の調査、すでにインターネットに接続している2大学病院において利用実態および懸念に関するインタビュー調査とパケット分析による定量的な実体調査をおこなった。これらの結果を元に、研究班全員および研究協力者でブレインストーミングを行い、ニーズ分析と接続によるリスク分析を行った。その上でリスクに対して対応を検討し、提言としてまとめた。さらに小規模医療機関で必要になると考えられた共同利用可能なゲートウエイセンタのモデルを構築し、運用要件を示した。
結果と考察
リスクは存在し、事故事例も確認された。また対策をとったとしても避けられない残余リスクも確認できた。ただし残余リスクはインターネットに接続しなくても存在するリスクであった。これらの結果を元に提言として共同利用可能な信頼性の高いゲートウエイセンタの誘導と「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の改訂の必要性を提示した。特にZero Day Attackに代表される残余リスクへの対応としてのやBCPに関する記載が不十分であった。この点は本研究のスコープではないが、東日本大震災のような大規模災害やそれにともなう電力事情の悪化にも対応するためにも改訂を急がなければならない。
結論
提言にまとめた医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの改定が適切に行われれば、管理要員の配置が可能な一定規模以上の医療機関では安全なインターネット接続が可能となり、小規模医療機関では、一括して管理を行うゲートウエイセンターが有効な解決方法となる。この要件を明確にすることで、設置を誘導する場合の指針を示すことができた。

公開日・更新日

公開日
2012-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129028C

収支報告書

文献番号
201129028Z