文献情報
文献番号
201129024A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医療における院内感染防止システム普及のための評価指標の標準化とその応用について
課題番号
H22-医療・一般-026
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
泉福 英信(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
- 公文 裕巳(岡山大学 泌尿器病態学)
- 高柴 正悟(岡山大学 歯周病態学)
- 狩山 玲子(岡山大学 泌尿器病態学)
- 苔口 進(岡山大学 口腔微生物学)
- 小澤 寿子(鶴見大学歯学部・歯内療法学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,420,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
歯科医療は、治療の際の患者との近接、唾液や血液の飛び散りなどから病原体に曝されるリスクが高いため感染症に対して対応できるスタンダードプレコーションを徹底して行う必要がある。しかしその理解率は一般開業歯科医師で20%前後と低く、不十分な状況である。院内感染対策を導入していくためには、導入し易い標準化された指標を作成しそれを普及するシステムを構築する必要がある。本研究は、全ての歯科医師に院内感染対策をよりよく導入していくことを目的とする。
研究方法
院内感染対策に対する意識、知識、行動におけるアンケート調査を某C県に所属する3330歯科医療機関を対象に行い、3年置きの変動、平成19年度の医療法や平成20年度診療報酬の改正の影響、評価指標の候補として挙げた11項目について、どのように導入し応用していけばよいか検討を行った。歯科用ユニット内微生物汚染除去システム、、在宅歯科医療における院内感染防止システム、易感染性状態の患者の抗生物質耐性菌の検出状況および長期使用した歯科デンタルユニット通水の汚染状況の検討を行った。
結果と考察
この3年間の歯科医師会、行政などの取り組みにより、全体的な院内感染対策率の向上が認められた。これは、若い歯科医師を中心に各年代とも上昇傾向が認められた。しかし、実際のHIV感染者の歯科治療の受入は若い歯科医師に多く、今後各年代にも院内感染対策を普及させることが重要と示唆された。院内感染対策11項目の中で、患者ごとのタービンヘッドの交換、スタッフの肝炎ワクチン接種や口外バキュームの設置を院内感染対策のランクアップするための鍵であることが明らかとなった。長期使用した歯科デンタルユニットの汚染状況はひどく、診療開始前の十分な通水や定期的な細菌検査が重要である。その状況をより改善するために過酸化水素水や微酸性電解水は有効な汚染防止剤であることも明らかとなった。口腔(歯垢・粘膜)は、吸引痰と同等の感染源として認識された。特に易感染性状態患者は,感染源に注意を払う必要があることが明らかとなった。
結論
院内感染対策のランクアップ必要な患者ごとのタービンヘッドの交換、スタッフの肝炎ワクチン接種や口外バキュームの設置、歯科ユニット汚染防止システム、細菌検査を軸に院内感染対策のシステムを作製し、歯科医師の各年代に応じた普及活動が必要であることが明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2012-05-15
更新日
-