小児慢性特定疾患治療研究事業の登録管理システムに関する研究

文献情報

文献番号
199701021A
報告書区分
総括
研究課題名
小児慢性特定疾患治療研究事業の登録管理システムに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 忠明(日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
心身障害研究費補助金 分野名なし 事業名なし
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
0円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児慢性特定疾患治療研究事業(以下、小慢事業)の効果的な運用のため、1997年度、「小児慢性特定疾患治療研究事業の評価に関する研究」(主任研究者、柳澤正義)が組織され、診断根拠となる症状や検査結果を記入する医療意見書を、小児慢性特定疾患(以下、小慢疾患)の10疾患群用と成長ホルモン治療用と、それぞれについて作成し、その内容を効率よくコンピューター入力するデータベース(案)を作成した。本研究班では、それに基づき小慢事業の登録管理をより効果的に推進するため、コンピューターのプログラム開発を行った。
研究方法
1)小慢疾患名とICD10コードとの対比表を、10疾患群ごとの専門医の意見に基づいて作成した。1998年度より、10疾患群の医療意見書の書式が改められる。そこに記載される疾患名のコンピューター登録を正確に行えるように、小児慢性特定疾患早見表に載っている疾患名とICD10コードの一部を見直した。
2)小児慢性特定疾患登録時の自動的表示・解析内容を検討した。小慢事業の登録時に、患児のプライバシー保護を十分に配慮しながら、各種の値を自動的に算出・表示し、出力できるソフト、また、疫学的知見等の解析結果の一部を簡単に出力できるソフトを開発した。
結果と考察
1)小慢事業の全国的な登録管理・集計のためには、全国で統一した疾患名等を用いる必要がある。しかし、申請される医療意見書には、同一疾患でも異なる疾患名で記載される場合があるので、本事業の対象疾患名の整理を行った。そして、国際疾病分類の「ICD10」のコード番号との対比表を作成し、国際的にも通用する分類を行った。
ICD10コードに関して、細分類が必要な場合、小数点1桁の次にABCD等の下位番号をつけた。今後の小慢事業のコンピューター登録・集計は、このコードで行う。
対応する疾患名が複数ある場合、統計上、できる範囲でまとめて分類することが望まれるので、類似した疾患名をまとめ、*印の疾患名(比較的一般的に使用される、主として日本語)とした。
そして、今後の疾患分類の参考にするため、腎疾患を例にとり、腎疾患専門医が用いているWHO分類のMODIFICATIONと、小慢事業の対象とすることの可否、及び対象疾患の下位番号をつけたICD10コードを対照させて作表した。
2)小慢事業の登録時に自動的に、「10疾患群すべて」における患児の年月齢、発病年月齢、「内分泌疾患」と「糖尿病」における肥満度、またはカウプ指数、「成長ホルモン治療用意見書」の判定基準となる参考値としての「骨年齢/暦年齢( %)」、「年月齢別、男女別の標準身長の-3.0SD値、-2.5SD値、-2.0SD値」、「年月齢別、男女別の計算上の身長SDスコア」、「補正成長率( . cm/年)」、「成長率の年月齢別、男女別の標準値の-1.5SD値( . cm)」、「補正GH頂値( . ng/ml)」、「補正夜間GH値( . ng/ml)」、「男子156.4cm、女子145.4cmに達する年月齢および平成年月の推計値」を算出・表示できるソフトを開発した。
疫学的知見等の解析結果の一部として、10疾患群ごとと各疾患(類似した疾患名が複数ある場合は*印の疾患名)ごとの、発病率(新規診断)と罹患率(新規診断+継続)の概要の把握、また、一年間に登録される保健所別、男女別、出生年別、発病年月別、症状別、検査結果別、合併症の有無別、経過別などの登録数の把握を簡単に出力できるソフトを開発し、登録時の便宜をはかった。
結論
小慢対象疾患のICD10コードの一部を見直し、各疾患ごとの発病率や罹患率、地域別、男女別、出生年別、発病年月別、症状別、検査結果別、経過別等の登録数の把握を容易にした。また、小慢疾患登録時に自動的に、計算、表示できる内容を検討した。患児の年月齢、発病年月齢、成長ホルモン治療の判定基準となる参考値、「内分泌疾患」や「糖尿病」における肥満度やカウプ指数等を、医療意見書の内容の入力時に自動的に表示、かつ出力できるようにした。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)