医療の質・安全向上を目的としてシナリオをベースとしたフルスケールシミュレーターを用いた教育の有用性と遠隔教育の可能性

文献情報

文献番号
201129018A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質・安全向上を目的としてシナリオをベースとしたフルスケールシミュレーターを用いた教育の有用性と遠隔教育の可能性
課題番号
H22-医療・一般-020
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
井田 雅祥(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 成元(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター)
  • 池上 敬一(獨協医科大学越谷病院 救命救急センター 救急医療科)
  • 澤 智博(帝京大学 医療情報システム研究センター 本部情報システム部)
  • 武田 聡(東京慈恵会医科大学 救急科 循環器内科)
  • 鹿瀬 陽一(東京慈恵会医科大学 麻酔科)
  • 石川 雅巳(国家公務員共済組合連合会呉共済病院 救急診療科)
  • 松本 みどり(国家公務員共済組合連合会立川病院 麻酔科)
  • 香取 秀幸(海老名総合病院 腎臓内科)
  • 川畑 雅照(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 呼吸器科)
  • 大森 正樹(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター)
  • 荒井 直美(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療の質・安全を確立するためには、システムの構築や、医療従事者への標準化された教育が欠かせない。これを達成する手段としてシミュレーション教育が注目されている。本研究では、シミュレーション教育の有効性評価と遠隔教育の開発を行い、地域医療も視野に入れた医学教育のあり方を提言する。
研究方法
国内外のシミュレーション教育の現状、シナリオをベースとしたフルスケールシミュレーターを用いたシミュレーション教育(以下、フルスケールシミュレーター教育)の有用性、指導者の養成と支援について調査研究し、遠隔教育の開発を行った。
結果と考察
1)欧米ではフルスケールシミュレーター教育が主流となっている。この教育法は、医学部生から専門医まで応用範囲が広い。本邦のシミュレーション施設は欧米とは異なるモデルの構築が必要と考えられた。
2)昨年度、我々の作成した4つのシナリオは、いずれも受講者の満足度が高いことが確認された。本年度は認知領域での学習効果も確認できた。今後は、受講の効果向上と。これを定着、保持させる教育システムを設計する必要がある。
3)本邦ではこの分野の指導者の数が十分ではない。本年度はシミュレーション教育指導者養成研修プログラムを共同開発した。
4)フルスケールシミュレーター教育では、特に実習後のデブリーフィングが重要である。米国の指導者コースにはシナリオデザインとデブリーフィング技術の研修が含まれている。本邦でも独自の教育システムを図る必要がある。指導者のデブリーフィングを支援するソフトウエアを開発した。
5)遠隔シミュレーション教育
昨年度、インターネット回線を利用した遠隔シミュレーション教育を構築し、作動の検証に成功したが、本年度は研修での有用性が確認できた。遠隔でも、環境整備によって対面教育と同等の学習効果が得られた。指導者養成にも有用であった。
結論
医療の質・安全の向上にシミュレーション教育が有用であり、遠隔教育が実現可能であることを示した。今後、指導者の育成と遠隔教育に適切な教育システムを設計する必要がある。本研究の成果を活用することによって、標準化された医療教育を地域に拡げ、地域医療の向上に貢献することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201129018B
報告書区分
総合
研究課題名
医療の質・安全向上を目的としてシナリオをベースとしたフルスケールシミュレーターを用いた教育の有用性と遠隔教育の可能性
課題番号
H22-医療・一般-020
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
井田 雅祥(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 成元(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター)
  • 池上 敬一(獨協医科大学越谷病院救命救急センター 救急医療科)
  • 澤 智博(帝京大学医療情報システム研究センター 本部情報システム部)
  • 武田 聡(東京慈恵会医科大学救急科 循環器内科)
  • 鹿瀬 陽一(東京慈恵会医科大学麻酔科)
  • 石川 雅巳(国家公務員共済組合連合会呉共済病院救急診療科)
  • 松本 みどり(国家公務員共済組合連合会立川病院麻酔科)
  • 香取 秀幸(海老名総合病院腎臓内科)
  • 川畑 雅照(国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器科)
  • 大森 正樹(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター)
  • 荒井 直美(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療の質・安全を確立するためには、システムの構築や、医療従事者への標準化された技術習得、実践的な医療、チーム医療のための教育が欠かせない。これを達成する手段としてシミュレーション教育が注目されている。本研究では、シミュレーション教育の有効性評価と開発を行い、地域医療も視野に入れた医学教育のあり方を提言する。
研究方法
国内外のシミュレーション教育の現状、シナリオをベースとしたフルスケールシミュレーターを用いたシミュレーション教育(以下、フルスケールシミュレーター教育)の有用性、指導者の養成と支援について調査研究し、シミュレーターを活用した遠隔教育の開発を行った。
結果と考察
1)国内外のシミュレーション教育の現状調査の結果、欧米ではフルスケールシミュレーター教育が主流となっていた。この教育法は、医学部生の授業から専門医のトレーニングまで応用範囲が広い。海外では、大規模なシミュレーション施設が造られているが、本邦のシミュレーション施設は規模が小さく、欧米とは異なるモデルの構築が必要であることを提言した。
2)フルスケールシミュレーター教育の有用性を検証した。その結果、受講者の満足度が高く、技術習得の期間短縮に有効であり、臨床的に有用であった。さらに、認知領域での学習効果も確認できた。今後は、シミュレーション教育に適した教育システムを設計していく。
3)本邦では指導者数が十分ではないことが明らかとなった。可及的速やかに指導者の養成を図る必要性がある。シミュレーション教育指導者養成研修プログラムを開発した。
4)指導者に求められるシナリオデザインとデブリーフィング技術の研修システムを開発する必要がある。指導者のデブリーフィングを支援するソフトウエアを開発した。
5)インターネット回線を利用した遠隔シミュレーション教育を構築し、実際の研修でも有用性を確認することができた。指導者の養成にも有用であった。
結論
フルスケールシミュレーター教育の有用性が確認され、遠隔教育も可能であることが実証できた。今後は、指導者の育成と遠隔教育に適切なシミュレーションシステムを設計する必要がある。遠隔シミュレーション教育が実現すれば、医療の質と安全性の向上とともに、国民に対する標準化された地域医療の提供が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129018C

収支報告書

文献番号
201129018Z