医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムの開発と展開-指標公表の影響評価と方策の研究-

文献情報

文献番号
201129015A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムの開発と展開-指標公表の影響評価と方策の研究-
課題番号
H22-医療・一般-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 廣瀬 昌博(島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター)
  • 林田 賢史(産業医科大学病院 医療情報部)
  • 猪飼 宏(京都大学 医学研究科)
  • 村上 玄樹(広島大学 医歯薬学総合研究科)
  • 徳永 淳也(九州看護福祉大学 看護福祉学部)
  • 大坪 徹也(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,660,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療の質の向上・均てん化と市民の医療機関選択に資するため、臨床指標を多施設間比較可能な形で日常的に測定し、公表して市民の医療機関選択に活用されることが、益々重要となった。医療の質の指標化はまだ発展途上であり、一方で、市民の誤解など副作用もありえる。そこで、医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムの開発と公表方策の検討を目的とした。
研究方法
 当研究では、日常的に収集される診療要約情報と診療報酬請求詳細データを中心に用いて、多施設における臨床指標の算出と比較可能な形で公表を行い、臨床指標値の関連要因と公表に係る要素を多角的に検討した。現在全国の約300の地域中核的病院から経年的・継続的にDPCデータ相当の診療・医事の症例詳細データの提供を受け(倫理委員会審査・承認済み)、臨床指標と関連指標を多施設間比較の可能な形でフィードバックする中で、臨床指標の公表は二年度めにも行った。
 二年度目にあたる当年研究では、それまでの研究成果を展開し「臨床指標の公表と影響・関連要因」を解析し、そして、今後一層重要性を増すと考えられる「チーム医療に関わる臨床指標」を開発し、「臨床指標による医療の実態・推移の評価解析と活用」を具体化した。さらに、「臨床指標の公表方策とさらなる開発・標準化」に向け、多領域多数の詳細な指標定義の開発を進めた。
結果と考察
 結果の要点をまとめると、まず、今回の臨床指標公表方策について医療者側からも患者側からも好ましい評価も得られ、この事業への自主的な参加病院も増えている。今回の臨床指標の公表方法は、一つの有力な方法として参考になると考えられる。
 また、多くの指標で、公表病院群と非公表病院群の間に実質上の差は見られず、低い指標値でもあえて公表する病院も多くみられたことは特筆に値する。さらに、当研究では多くの診療領域で多くの指標定義を開発・整備した。
結論
 医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムを開発し、前年度に加え多くの臨床指標を開発した。さらに、公表方策を検討し開発し公表を経年的に実現した。今後は、さらに多くの妥当で信頼できる指標算出とその公表方策の標準化と普及が重要であり、国レベルでの日常的算出と改善に資する基盤づくりにつなげていくことが必要であろう。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201129015B
報告書区分
総合
研究課題名
医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムの開発と展開-指標公表の影響評価と方策の研究-
課題番号
H22-医療・一般-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 廣瀬 昌博(島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター)
  • 林田 賢史(産業医科大学病院 医療情報部)
  • 猪飼 宏(京都大学 医学研究科)
  • 村上 玄樹(広島大学 医歯薬学総合研究科)
  • 徳永 淳也(九州看護福祉大学 看護福祉学部)
  • 大坪 徹也(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 当研究では、指標公表の方策を開発し、2010年12月24日に17の臨床指標を多施設比較が容易な形でWebにて公表した。さらに、指標の測定・公表は、二年度めにも行った。研究の目的は、以下である。
一、日常的な診療に係るデータをもって測定できる、医療の質に関わる臨床指標を研究開発し、それをもって多施設の臨床指標を測定する。
一、その公表方策を検討して開発し、その方策をもって多施設の臨床指標を公表する。
一、臨床指標の値とその変化に係る要因を解析して明らかにするとともに、公表の方策について、その実施をもって検討する。
研究方法
 当研究は、これまでの研究成果をもとに展開し、 臨床指標を開発し多施設にて測定して公表を行った。次に、臨床指標の公表と影響・関連要因を解析した。また、今後一層重要性が増すと考えられるチーム医療に関わる臨床指標を開発した。さらに臨床指標による医療の実態・推移の評価解析と活用の具体例を示し、臨床指標の公表方策とさらなる開発・標準化に向けて、多領域多指標の定義の開発を進めた。
結果と考察
 結果と考察を以下にまとめる。
○ 今回の臨床指標公表方策について医療者側からも患者側からも好ましい評価も得られ、この事業への自主的な参加病院も増えている。今回の臨床指標の公表方法は、一つの有力な方法として参考になると考えられる。
○ 多くの指標で公表病院群と非公表病院群の間に実質上の差は見られず、低い指標値でもあえて公表する病院も多くみられたことは特筆に値する。
○ 当研究ではさらに多領域の多くの指標定義を開発・整備した。いずれも医事管理データを用いるもので、医療機関でのデータ収集の負担が少なく、多施設で同じ定義の指標を比較することができ、活用と普及が極めて現実的である。
結論
 医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムを開発し、経年的に臨床指標を測定し、公表方策を検討し開発・実現し、それらの関連要因を示した。また、さらに多領域の多くの指標定義を開発した。今後は、さらに多くの妥当で信頼できる指標算出とその公表方策の標準化と普及が重要であり、国レベルでの日常的算出と改善に資する基盤づくりにつなげていくことが必要であろう。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
○臨床指標の病院名つきの公表を、調べられた限り最も早く、行うことができた。
○多くの指標で公表病院群と非公表病院群の間に実質上の差は見られず、低い指標値でもあえて公表する病院も多くみられたことは特筆に値する。
○当研究ではさらに多領域の多くの指標定義を開発・整備した。いずれも医事管理データを用いるもので、医療機関でのデータ収集の負担少なく、多施設で同じ定義の指標を比較することができ、活用と普及が極めて現実的である。
臨床的観点からの成果
○いくつかの指標で、多くの医療機関での改善傾向が見られた。
○多領域で、算出実行しやすく、同じ定義で多施設比較できる、医療の質の指標が開発された。
○今回の臨床指標公表方策について医療者側からも患者側からも好ましい評価も得られ、この事業への自主的な参加病院も増えている。今回の臨床指標の公表方法は、一つの有力な方法と考えられる。
ガイドライン等の開発
ガイドラインや指針自体を開発する目的の研究ではないが、当研究で開発された指標定義・算出手法の指針になることが期待される。
その他行政的観点からの成果
リハビリの効果に関する予備的研究成果が、中央社会保険医療協議会(2011年12月7日)で取り上げられた。
当研究成果の指標定義が病院団体等の共用指標プールに採用され、ウェブで公開された。
その他のインパクト
(公財)日本医療機能評価機構の公開フォーラム(2011年10月15日)で発表、翌日、医療マスメディアで取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
18件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
26件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
厚労省での他事業の評価会議への参加・発表
その他成果(普及・啓発活動)
8件
フォーラム発表1回、セミナー2回、約300病院への詳細アウトプット提供4回、約800病院への概要提供1回

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tanaka M, Lee J, Ikai H, Imanaka Y.
Development of efficiency indicators of operating room management for multi-institutional comparisons.
Journal of Evaluation in Clinical Practice , 19 (2) , 335-341  (2013)
原著論文2
Kunisawa S, Ikai H, Imanaka Y.
Incidence and prevention of postoperative venous thromboembolism - Are they meaningful quality indicators in Japanese healthcare settings?
World Journal of Surgery , 36 (2) , 280-286  (2012)
原著論文3
Umegaki T, Ikai H, Imanaka Y.
The impact of acute organ dysfunction on patients’ mortality with severe sepsis.
Journal of Anaesthesiology Clinical Pharmacology , 27 (2) , 180-184  (2011)
原著論文4
Umegaki T, Sekimoto M, Imanaka Y.
Impact of Intensive Care Unit Physician on Care Processes of Patients with Severe Sepsis in Teaching Hospitals.
Journal of Anesthesia & Clinical Research , 2 , 120-  (2011)
原著論文5
Lee J, Imanaka Y, Sekimoto M, et al.
The validation of a novel method to identify healthcare-associated infections.
The Journal of Hospital Infection , 77 (4) , 316-320  (2011)
原著論文6
Ikai H, Morimoto T, Shimbo T, et al.
Impact of Postgraduate Education on Physician Practice for Community-acquired Pneumonia.
Journal of Evaluation in Clinical Practice , 18 (2) , 389-395  (2012)
原著論文7
Lee J, Imanaka Y, Sekimoto M, et al.
Healthcare-associated infections in acute ischemic stroke patients from 36 Japanese hospitals: risk-adjusted economic and clinical outcomes.
International Journal of Stroke , 6 (1) , 16-24  (2011)
原著論文8
Umegaki T, Sekimoto M, Ikai H, et al.
Current anticoagulation therapy for sepsis-induced disseminated intravascular coagulation in Japan: Results of multicenter study using administrative data.
Soc Intensive Care Med , 17 , 555-559  (2010)
原著論文9
Umegaki T, Sekimoto M, Hayashida K, et al.
An Outcome Prediction Model for Adult Intensive Care.
Critical Care and Resuscitation , 12 , 96-103  (2010)
原著論文10
Murakami G, Imanaka Y, Kobuse H, et al.
Patient Perceived Priorities between Technical Skills and Interpersonal Skills: Their Influence on Correlates of Patient Satisfaction.
Journal of Evaluation in Clinical Practice , 16 (3) , 560-568  (2010)

公開日・更新日

公開日
2020-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201129015Z