文献情報
文献番号
201129008A
報告書区分
総括
研究課題名
緩和ケアにおける鍼灸治療の有用性、適応の評価とチーム医療のためのシステム化に関する調査研究
課題番号
H22-医療・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
篠原 昭二(明治国際医療大学 鍼灸学部 伝統鍼灸学教室)
研究分担者(所属機関)
- 糸井啓純(明治国際医療大学 鍼灸学部 外科学教室)
- 神山 順(明治国際医療大学 鍼灸学部 外科学教室)
- 和辻 直(明治国際医療大学 鍼灸学部 伝統鍼灸学教室)
- 斉藤宗則(明治国際医療大学 鍼灸学部 伝統鍼灸学教室)
- 関 真亮(明治国際医療大学 鍼灸学部 伝統鍼灸学教室 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,570,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
終末期患者に対して2010年7月1日からスタートして、2011年11月末日までの間、某病院緩和ケア病棟の患者を対象に微鍼を中心とした日本式の鍼灸治療介入を行い、鍼灸治療の臨床的有用性について調査した。あわせて、緩和医療に貢献する鍼灸師のための研修カリキュラム案の検討とともに、昨年度購入した循環動態に注目したCAVIを用いた評価の可能性について調査した。
研究方法
緩和ケア病棟において主治医からインフォームドコンセント行い同意の得られた患者を対象とし、日本式の微鍼を用いて愁訴部位の末梢の要穴に治療介入を行ない、種々の評価法を用いて愁訴の変化について観察した。CAVIについては、健常成人9名を対象として鍼治療前後におけるオ血との関連性について調査した。さらに、緩和医療に貢献する鍼灸師のための研修カリキュラム案を策定した.
結果と考察
35症例(男24名、女11名)にて行った。今回、主治医からの依頼に対して鍼灸治療介入した結果、著効16例(45.7%)、有効8例(22.9%)、やや有効6例(17.1%)、無効0、判定不明5例(14.3%)であった。総合すると68.6%に有効であったといえる。また、有害事象の発生頻度が治療後の倦怠感を1例訴えたのみで、3.6%と極めて低く、その程度も安静臥床で消失する軽微なものであったことから、非常に安全な治療法であるといえる。従来行われていたルーチンな服薬に鍼灸治療を併用する事で、癌性疼痛以外の愁訴に対しても患者の満足度を改善することができた。
また、CAVIによる検討の結果、「がん」に関連のある血オ証に鍼治療を行ったところ、舌下静脈怒張やABI値を治療前後で減少する傾向を示した。
また、CAVIによる検討の結果、「がん」に関連のある血オ証に鍼治療を行ったところ、舌下静脈怒張やABI値を治療前後で減少する傾向を示した。
結論
従来の西洋医学的な緩和ケア治療に鍼灸治療を介入させることで、麻薬を著しく増量することなくがん性疼痛の鎮痛・緩和を期待することが可能であり、またがん性疼痛以外でも浮腫、しびれ感、倦怠感をはじめ、精神・情緒的安定にも貢献しうる可能性のあることが示唆された。末期担がん患者に対して、無薬物療法でほとんど治療上の疼痛を与えることなく行われる日本式の鍼灸治療は、緩和ケア領域における症状の緩和において一定の介入効果が期待されることが示唆された。
また、CAVIは「がん」に関連のある血オ証に応用しる可能性を示した。一方、緩和ケアを担当する鍼灸師には専門的知識・技術の必要性があり、研修カリキュラムが必要である。
また、CAVIは「がん」に関連のある血オ証に応用しる可能性を示した。一方、緩和ケアを担当する鍼灸師には専門的知識・技術の必要性があり、研修カリキュラムが必要である。
公開日・更新日
公開日
2012-05-08
更新日
-