健康長寿につながる小児期からの定期的歯科チェックアップシステムの構築

文献情報

文献番号
201129004A
報告書区分
総括
研究課題名
健康長寿につながる小児期からの定期的歯科チェックアップシステムの構築
課題番号
H22-医療・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
田中 光郎(岩手医科大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在の日本の小児歯科検診は子ども達の歯科疾患を早期に発見して歯科受診を勧めるスクリーニングとして重要な役割を果たして来ているが、この検診はすでに生じてしまった歯科疾患のスクリーニングであること、学校を卒業した途端に定期的な歯科検診を受けなくなる人々が生じる、という2つの問題点を指摘することができる。一方、欧米で行われている「チェックアップ」は個々の小児の状況に応じた清掃指導、摂食指導、PMTC、フッ化物塗布などの予防的指導や処置、バイトウイングX線検査による隣接面齲蝕の早期発見などを行うオーダーメードの歯科健康診査であり、大人数を対象として一律に行う「スクリーニング」に比較して、歯科疾患を「予防」する観点からは格段に有用なシステムである。
研究方法
本研究課題では、12歳児のDMFTが低いデンマーク、高いハンガリー、そして中間に位置する米国について、12歳児を持つ母親を対象に定期的な歯科チェックアップに関してアンケート調査を実施し、昨年度に調査した国々と比較しつつ、わが国における歯科チェックアップシステムの方向性について検討を行った。
結果と考察
小児のチェックアップの受診率はデンマークでは96%であり、米国、ハンガリーにおいても、ともに91%と高く、日本の44%は欧米諸国に比べて突出して低い値であった。受診させていない理由としては「必要を感じていない」、「経済的に負担が大きい」「時間的に余裕がない」ことが挙げられていた。事実、デンマークなどのチェックアップ受診率の高い国々ではほとんどの人が自己負担がないのに対し、日本では80%が自己負担していた。また、チェックアップのために学校を休んだことが一度もないと回答した母親は、デンマークではわずかに13%、米国は32%であり、ハンガリーは他の欧米諸国の中では高い79%であったが、日本は98%で学校に対する意識の違いが明らかになった。
結論
わが国では、定期的チェックアップの価値が欧米ほど評価されておらず、社会的、経済的な背景も相俟って実際の行動に結びついていないが、小児の口腔衛生状態の更なる改善は将来の成人の口腔衛生状態改善にも資するものであり、欧米並みに受診率を上げることはわが国の口腔保健向上の観点から今後取り組むべき課題である。

公開日・更新日

公開日
2012-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201129004B
報告書区分
総合
研究課題名
健康長寿につながる小児期からの定期的歯科チェックアップシステムの構築
課題番号
H22-医療・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
田中 光郎(岩手医科大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在の日本の小児歯科検診は子ども達の歯科疾患を早期に発見して歯科受診を勧めるスクリーニングとして重要な役割を果たして来ているが、この検診はすでに生じてしまった歯科疾患のスクリーニングであること、学校を卒業した途端に定期的な歯科検診を受けなくなる人々が生じる、という2つの問題点を指摘することができる。一方、欧米で行われている「チェックアップ」は個々の小児の状況に応じた清掃指導、摂食指導、PMTC、フッ化物塗布などの予防的指導や処置、バイトウイングX線検査による隣接面齲蝕の早期発見などを行うオーダーメードの歯科健康診査であり、大人数を対象として一律に行う「スクリーニング」に比較して、歯科疾患を「予防」する観点からは格段に有用なシステムである。
研究方法
本研究課題では、12歳児のDMFTが低い英国、デンマーク、オランダ、スウェーデン、オーストラリア、高いチェコ、ハンガリー、そして中間に属する米国と日本の9か国について、12歳児を持つ母親を対象に定期的な歯科チェックアップに関してアンケート調査を実施した。
結果と考察
小児のチェックアップの受診率は英国、デンマーク、オランダ、スウェーデン、チェコでは95%以上であり特にスウェーデンでは99%となっており、ほとんどすべての小児が定期的チェックアップを受けていたが、日本は44%にすぎなかった。受診させていない理由としては「必要を感じていない」、「経済的に負担が大きい」「時間的に余裕がない」ことが挙げられていた。事実、英国、デンマーク、スウェーデンではほとんどの人が自己負担がないのに対し日本では80%が自己負担していた。また、チェックアップのために学校を休んだことが一度もないと回答した母親は、スウェーデン、デンマークでそれぞれわずかに12%、13%であり、米国32%、オーストラリア34%、チェコ37%、オランダ42%、英国53%、ハンガリー79%で日本は98%であった。
結論
わが国では、定期的チェックアップの価値が欧米ほど評価されておらず、社会的、経済的な背景も相俟って実際の行動に結びついていないが、小児の口腔衛生状態の更なる改善は将来の成人の口腔衛生状態改善にも資するものであり、欧米並みに受診率を上げることはわが国の口腔保健向上の観点から今後取り組むべき課題である。

公開日・更新日

公開日
2012-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129004C

収支報告書

文献番号
201129004Z