地理情報システム(GIS)を用いた在宅医療・在宅歯科医療についての実態把握・比較に関する研究

文献情報

文献番号
201129003A
報告書区分
総括
研究課題名
地理情報システム(GIS)を用いた在宅医療・在宅歯科医療についての実態把握・比較に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山脇 正永(京都府立医科大学 大学院医学研究科 総合医療・医学教育学)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院 保健医療公共政策学)
  • 植松 宏(東京医科歯科大学 大学院 口腔老化制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,962,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では平均寿命の伸びと出生率の低下等によって高齢化率は急速に高まっており、疾病構造は従来の感染症中心から生活習慣病及び老年症候群中心へと変化している。平成18年度の医療保険制度の改正により、在宅医療の中心を担うために「在宅療養支援診療所」の制度が制定され、その医療システム(診療ネットワーク・人材及び診療所等の医療資源・医療内容)に関する実態及び地域による比較検討は明らかでない。
本研究は、今後の更なる高齢社会に対応できる在宅医療システムを構築するために、在宅医療施設について都道府県別のみならず医療圏別に調査を実施し、①地域的な在宅医療施設の配置状況、②地域的特性からみた在宅医療資源の配置状況について、地理空間情報システムを用い比較分析しようというものである。
研究方法
在宅医療施設の各種情報について地理情報システム(GIS)を用い、在宅医療施設の配置状況及び地域的偏りを検討する。併せて、診療ネットワーク、医療資源、医療内容の実態を把握し、GISによる分析結果との検証を行い、効果的な地域連携体制の構築手法を検討する。本年度は在宅医療施設についてのGIS分析を実施し、在宅医療に関する実態を浮き彫りとした。
本年度は昨年度の結果に引き続き、1)民間非医療資源を利用した地域医療サーベイランスシステム・モデルの提唱、2)都市型医療・福祉連携の最適化に関する検討、について実施検討した。
結果と考察
1)民間非医療資源を利用した地域医療サーベイランスシステム・モデルの提唱
各店舗を母点とした、Voronoi分析の結果では、人口居住地区のほとんどをカバーでき、コンビニエンス・ストアが認知症徘徊患者のサーベイランスシステムの情報拠点として機能することが予想された。一方で店舗から1,000 m 以上の距離のエリアも多く、特に人口非居住地区(山地、荒地など)については、カバー範囲外となるエリアも広範に存在した。
2)都市型医療・福祉連携の最適化に関する検討
医療資源では、高い診療報酬が算定される急性期資源ほど都市部に偏在し、診療報酬が低い慢性期資源ほど辺縁部に分布していることが明らかになった。
結論
1.都市型地域における医療連携は二次医療圏を超えて構想する可能性も示唆され、圏域を超えて患者を追跡できる医療者の育成や追跡のための情報システム構築、首都圏全域の資源を掌握し、適切なマネジメントを行うことのできる人材の育成等が必要と考えられた。
2.さらに今後、地理情報を医療資源とマッチングさせる分析において、地域医療における民間の非医療資源の利用も加味した、新たな分析手法の開発が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201129003B
報告書区分
総合
研究課題名
地理情報システム(GIS)を用いた在宅医療・在宅歯科医療についての実態把握・比較に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山脇 正永(京都府立医科大学 大学院医学研究科 総合医療・医学教育学)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院 保健医療公共政策学)
  • 植松 宏(東京医科歯科大学 大学院 口腔老化制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では平均寿命の伸びと出生率の低下等によって高齢化率は急速に高まっており、疾病構造は従来の感染症中心から生活習慣病及び老年症候群中心へと変化している。平成18年度の医療保険制度の改正により、在宅医療の中心を担うために「在宅療養支援診療所」の制度が制定され、その医療システム(診療ネットワーク・人材及び診療所等の医療資源・医療内容)に関する実態及び地域による比較検討は明らかでない。
本研究は、今後の更なる高齢社会に対応できる在宅医療システムを構築するために、在宅医療施設について都道府県別のみならず医療圏別に調査を実施し、①地域的な在宅医療施設の配置状況、②地域的特性からみた在宅医療資源の配置状況について、地理空間情報システムを用い比較分析しようというものである。
研究方法
研究方法は、在宅医療施設の各種情報について地理情報システム(GIS)を用い、在宅医療施設の配置状況及び地域的偏りを検討する。併せて、診療ネットワーク、医療資源、医療内容の実態を把握し、GISによる分析結果との検証を行い、効果的な地域連携体制の構築手法を検討する。本年度は在宅医療施設についてのGIS分析を実施し、在宅医療に関する実態を浮き彫りとした。
本年度は昨年度の結果に引き続き、1)民間非医療資源を利用した地域医療サーベイランスシステム・モデルの提唱、2)都市型医療・福祉連携の最適化に関する検討、について実施検討した。
結果と考察
1.HAZOP分析によるリスク分析法は、今後の在宅患者における嚥下障害、栄養管理について有用な分析方法であり、多職種連携の効率化に資すると考えられた。
2.地図情報分析による医療・予防医療資源と地理情報のマッチング手法は、今後のプライマリケア医療、在宅患者における高齢症候群(認知症、嚥下障害など)への対策について有用な分析方法であると考えられた。
3.都市型地域における医療連携は二次医療圏を超えて構想する可能性も示唆され、圏域を超えて患者を追跡できる医療者の育成や追跡のための情報システム構築、首都圏全域の資源を掌握し、適切なマネジメントを行うことのできる人材の育成等が必要と考えられた。
結論
1.本研究の結果は、今後の高齢化社会における在宅医療、地域医療の医療制度設計において、都市部の医療と僻地の医療においては異なる方略での分析・検討が必要である可能性が示唆された。
2.さらに今後、地理情報を医療資源とマッチングさせる分析において、地域医療における民間の非医療資源の利用も加味した、新たな分析手法の開発が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129003C

収支報告書

文献番号
201129003Z