コステロ症候群・CFC症候群類縁疾患の診断基準作成と治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201128284A
報告書区分
総括
研究課題名
コステロ症候群・CFC症候群類縁疾患の診断基準作成と治療法開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-122
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松原 洋一(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 緒方 勤(国立成育医療研究センター)
  • 黒澤 健司(神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター)
  • 岡本 伸彦(大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所)
  • 大橋 博文(埼玉県立小児医療センター)
  • 川目 裕(お茶の水女子大学)
  • 呉 繁夫(東北大学 大学院医学系研究科 )
  • 栗山 進一(東北大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コステロ症候群およびCFC(cardio-facio- cutaneous)症候群は、中等度?重度の精神遅滞や発達障害を示し、なかには経口摂取や歩行を獲得できず生涯介護が必要なケースも知られている。しかしながら、いずれの疾患についてもその研究の歴史は浅く、とくに遺伝子診断が導入されて他の類似疾患との明確な鑑別が可能となってからは、まだ5年しか経過していない。そのため、各疾患の自然歴や長期予後、患児(患者)の育児・教育・療育・介護における問題点や課題についても不明である。本研究班の目的は、両症候群の診断基準の作成、患者数の把握、臨床症状及び合併症の把握、遺伝子型/表現型相関解析、さらに分子標的治療法開発の検討である。
研究方法
1)コステロ症候群・CFC症候群の診断基準の検討
2)シンポジウムの開催による患者家族への情報提供
3)全国調査の実施による、患者数、合併症、臨床像QOLの把握
4)遺伝子解析と新規遺伝子の探索
5)疾患モデルマウスの作製による治療法開発の検討
結果と考察
1)コステロ症候群・CFC症候群の暫定診断基準を作成した
2)シンポジウムを開催(平成22年度及び23年度)し、患者家族への情報提供をおこなった
3)全国調査を1次・2次の2回にわたって実施し、患者数、合併症、臨床像、成人例QOLを把握した
4)遺伝子解析によって遺伝子変異スペクトラムを解明した。また新規病院遺伝子候補を同定した
5)疾患モデルマウスの作製に成功し、分子標的薬剤による症状改善を認めた
結論
本研究によって、コステロ症候群・CFC症候群の診断基準を作成するとともに、我が国における患者の実態がはじめて明らかにされた。また、遺伝子診断を確立するとともに、モデル動物作成によって治療法開発への道を切り開いた。

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201128284B
報告書区分
総合
研究課題名
コステロ症候群・CFC症候群類縁疾患の診断基準作成と治療法開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-122
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松原 洋一(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 緒方 勤(国立成育医療研究センター)
  • 黒澤 健司(神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター)
  • 岡本 伸彦(大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所)
  • 大橋 博文(埼玉県立小児医療センター)
  • 川目 裕(お茶の水女子大学)
  • 呉 繁夫(東北大学 大学院医学系研究科 )
  • 栗山 進一(東北大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コステロ症候群およびCFC(cardio-facio- cutaneous)症候群は、中等度?重度の精神遅滞や発達障害を示し、なかには経口摂取や歩行を獲得できず生涯介護が必要なケースも知られている。しかしながら、いずれの疾患についてもその研究の歴史は浅く、とくに遺伝子診断が導入されて他の類似疾患との明確な鑑別が可能となってからは、まだ5年しか経過していない。そのため、各疾患の自然歴や長期予後は不明である。さらに、患児(患者)の育児・教育・療育・介護における問題点や課題についても不明な点が多く、患者家族の戸惑いが大きい。本研究班では、両症候群の診断基準の作成、患者数の把握、臨床症状及び合併症の把握、遺伝子型/表現型相関解析、さらに分子標的治療法開発の検討を目的とした。
研究方法
1)コステロ症候群・CFC症候群の診断基準の検討と作成
2)コステロ症候群・CFC症候群シンポジウムの開催による患者家族への情報提供
3)全国調査の実施による、患者数の推定、合併症・臨床像・成人例のQOLの実態調査
4)遺伝子解析と新規遺伝子の探索
5)疾患モデルマウスの作製
結果と考察
1)コステロ症候群・CFC症候群の診断基準をはじめて作成した。
2)コステロ症候群・CFC症候群シンポジウムを2回開催し、患者家族への情報提供をおこなった。
3)全国調査の実施によって、患者数、合併症・臨床像・成人例のQOLなどをはじめて明らかにした。
4)遺伝子解析によって遺伝子変異スペクトラムを解明するとともに、新規病因遺伝子候補を同定した。
5)疾患モデルマウスの作製に成功し、分子標的薬剤による症状の改善を認めた。
結論
コステロ症候群およびCFC症候群の診断基準(暫定)を作成するとともに、わが国における患者の実態を初めて明らかにすることができた。遺伝子診断についても現時点において最適と考えられる解析アルゴリズムを作成した。疾患モデルマウスの作製によって、治療法開発への道を切り開いた。

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128284C

成果

専門的・学術的観点からの成果
コステロ症候群およびCFC症候群の診断基準を作成するとともに、全国調査(一次・二次)を実施して、世界で初めて両症候群の疫学的な実態を明らかにした。また、遺伝子解析によって遺伝子変異をスペクトラムを解明し、遺伝子診断アルゴリズムを確立した。さらに、疾患モデルマウスの作製に成功するとともに、分子標的薬物療法の有効性を示し治療法開発への道を切り開いた。これらの研究成果は、米国や欧州の競合する研究室と比較しても世界のトップレベルにある水準である。
臨床的観点からの成果
コステロ症候群・CFC症候群は、いずれも、これまでその存在そのものが臨床家の間でよく知られていなかった。本研究班の成果である診断の手引きと診断基準によって、今後より多くの患者発見につながるものと思われる。患者の同定は悪性腫瘍の早期発見と早期治療につながるため、その予後を大きく改善することが予想される。また、遺伝子診断アルゴリズムの確立によって効率的な遺伝子検査が可能となった。治療法への道筋が開けたことから、今後の診療水準の向上も期待される。
ガイドライン等の開発
コステロ症候群およびCFC症候群における診断の手引きと暫定診断基準を初めて作成した。診断の手引きは、患者家族の了解を得て顔写真付きのわかりやすいものとなっている。この診断の手引きは、本研究班による全国調査実施の際におもな基幹医療機関に配布しており、今後の患者発見に有用と思われる。また、類縁疾患との鑑別が困難でしばしば誤診されることが多かったが、遺伝子診断を加味した暫定診断基準の策定により、より客観的な診断が可能となった
その他行政的観点からの成果
全国調査(一次・二次)を実施することによって、患者数、臨床症状、合併症、成人例のQOLなどをはじめて明らかにすることができた。今後の難病対策にとって有用と考えられる。また、この研究班がきっかけとなって患者家族のネットワークが形成されたことから、今後の行政との接点のひとつとして活用することが可能と思われる。
その他のインパクト
コステロ症候群およびCFC症候群の患者・家族と臨床医・研究者を交えた公開シンポジウムをわが国で初めて開催し、情報提供と意見交換を行った。平成22年度には、全国から27家族83人、平成23年度の第2回シンポジウムでは、25家族84名の参加を得て活発な交流が行われた。平成23年度のシンポジウムでは、米国の家族会代表からのビデオメッセージを紹介するなどの国際交流を図った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
31件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Abe Y, Aoki Y, Kuriyama S, et al.
Prevalence and clinical features of Costello syndrome and cardio-facio-cutaneous syndrome in Japan: findings from a nationwide epidemiological survey
Am J Med Genet A , 158 (5) , 1083-1094  (2012)
原著論文2
Adachi M, Abe Y, Aoki Y, et al.
Epilepsy in RAS/MAPK syndrome: two cases of cardio-facio-cutaneous syndrome with epileptic encephalopathy and a literature review
Seizure , 21 (1) , 55-60  (2012)
原著論文3
Soneda A, Teruya H, Furuya N, et al.
Proportion of malformations and genetic disorders among cases encountered at a high-care unit in a children’s hospital
Eur J Pediatr , 171 , 301-305  (2012)
原著論文4
Wakabayashi Y, Yamazaki K, Narumi Y, et al.
Implantable cardioverter defibrillator for progressive hypertrophic cardiomyopathy in a patient with LEOPARD syndrome and a novel PTPN11 mutation Gln510His
Am J Med Genet A , 155 (10) , 2529-2533  (2011)
原著論文5
Niihori T, Aoki Y, Okamoto N,et al.
HRAS mutants identified in Costello syndrome patients can induce cellular senescence: possible implications for the pathogenesis of Costello syndrome
J Hum Genet , 56 (10) , 707-715  (2011)
原著論文6
Watanabe Y, Yano S, Niihori T, et al.
A familial case of LEOPARD syndrome associated with a high-functioning autism spectrum disorder
Brain Dev , 33 (7) , 576-579  (2011)
原著論文7
Komatsuzaki S, Aoki Y, Niihori T, et al.
Mutation analysis of the SHOC2 gene in Noonan-like syndrome and in hematologic malignancies
J Hum Genet , 55 (12) , 801-809  (2010)
原著論文8
Kobayashi T, Aoki Y, Niihori T, et al.
Molecular and clinical analysis of RAF1 in Noonan syndrome and related disorders: dephosphorylation of serine 259 as the essential mechanism for mutant activation
Human Mut , 31 (3) , 284-294  (2010)
原著論文9
Kato H, Yoshida R, Tsukamoto K, et al.
Familial cases of atypical clinical features genetically diagnosed as LEOPARD syndrome (multiple lentigines syndrome)
Int J Dermatol , 49 , 1146-1151  (2010)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128284Z