潜在性HTLV-1感染関連疾患の発見と実態調査

文献情報

文献番号
201128282A
報告書区分
総括
研究課題名
潜在性HTLV-1感染関連疾患の発見と実態調査
課題番号
H23-難治・一般-128
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
下田 和哉(宮崎大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 北中 明(宮崎大学 医学部 )
  • 久冨木 庸子(宮崎大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HTLV-1は、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)、HTLV-1関連脊髄症、HTLV-1ぶどう膜炎の原因ウイルスである。前述の3疾患以外に、多発性筋炎、関節疾患など、様々な疾患がHTLV-1関連疾患と考えられているが、その詳細は不明である。そこで、HTLV-1高浸淫地域である宮崎県において疫学研究を行い、潜在性HTLV-1関連疾患の実態を解析する。
研究方法
研究参加施設中のコホート(derivation cohort)より、年齢、性のバックグラウンドを同一とし、HTLV-1感染の有無のみが相違する患者集団を抽出し、抗HTLV-1抗体陽性群において発症のオッズ比が高い疾患を見出すことによって、これまでに把握されていないHTLV-1関連疾患を発見する。
結果と考察
derivation cohortにおけるHTLV-1感染率は10.2%と高率であり、キャリアの高齢化が顕著であることも明らかとなった。HTLV-1感染は女性に高頻度であり、70歳以上の女性では20%程度が抗HTLV-1抗体を保有していた。抗HTLV-1抗体陽性群において発症の頻度が高い疾患を抽出した結果、既知のHTLV-1関連疾患のオッズ比(95%CI)は、ATLが24.22(14.20-41.33)、HTLV-1関連脊髄症を反映すると考えられる痙性麻痺が6.08(1.23-30.18)、排尿困難が1.71(1.01-2.89)、HTLV-1ぶどう膜炎を反映する虹彩毛様体炎が1.49(1.00-2.22)であった。以上より、HTLV-1関連疾患の検出、同定がこの手法で可能であることが示された。新規のHTLV-1関連疾患候補が見出された場合、それらの疾患を対象として、後ろ向きのケースコントロール研究、生物学的なevidenceの検討をおこない、臨床像解明を目指す。
結論
HTLV-1感染者を対象とした潜在性HTLV-1関連疾患の網羅的検索を行い、HTLV-1感染者に発症のオッズ比が高い疾患の抽出を行った。derivation cohortにおける既知のHTLV-1関連疾患の検出感度が優れていたことから、妥当性を検証するコホート(validation cohort)を対象とした解析を行い、HTLV-1関連疾患候補の絞り込みを行うことが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128282Z