HTLV-1感染に関連する非ATL非HAM希少疾患の実態把握と病態解明

文献情報

文献番号
201128281A
報告書区分
総括
研究課題名
HTLV-1感染に関連する非ATL非HAM希少疾患の実態把握と病態解明
課題番号
H23-難治・一般-127
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
岡山 昭彦(宮崎大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 藤田 次郎(琉球大学 大学院医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科)
  • 瀬戸山 充(宮崎大学 医学部 感覚運動医学講座皮膚科学分野)
  • 望月 學(東京医科歯科大学 眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトTリンパ向性ウイルス1型(HTLV-1)はATL、HAM以外にもぶどう膜炎、関節炎、膠原病、慢性肺疾患、慢性皮膚疾患など種々の慢性炎症疾患(非ATL非HAM希少疾患)への関連が示唆されている。本研究ではこれらの慢性炎症性疾患のHTLV-1感染の頻度、特徴、ウイルス感染と疾患発症のメカニズムを明らかにし、診療ガイドラインなどにその結果を反映させることで、診療の進歩に寄与することを目的とする。
研究方法
HTLV-1高浸淫地域である宮崎、長崎、沖縄において、インフォームドコンセントが得られた上記慢性炎症疾患患者を対象に実態調査を行い、HTLV-1陽性患者と陰性患者の病態や予後、治療反応性の違いについて明らかにする。さらに慢性炎症性疾患患者におけるATLやHAMの合併頻度やステロイドを含む免疫抑制治療が特にATLの発症促進につながらないか等のウイルス学的検討を行い、あわせてHTLV-1感染による慢性炎症性疾患のメカニズムについての基礎的検討を行う。
結果と考察
平成23年度においては、宮崎、長崎、沖縄においてHTLV-1キャリア及び関連疾患患者が存在しており、本研究がその調査に有効であることが示された。特に膠原病、皮膚疾患の一部においてHTLV-1感染の頻度が高く、特徴的な臨床像がある可能性を示唆する所見が得られた。これらの結果はHTLV-1と慢性炎症性疾患の関連を示唆するものであった。さらに慢性炎症性疾患の合併およびその治療を受けている患者を対象とすることで、HTLV-1感染の動態への影響およびATLやHAMなどの発症リスクを変化させるか否かについて検討を開始することができた。しかしいまだ少数例の検討結果であり、平成24年度においてさらに検討対象者数を拡大し、各研究者の情報交換を密に行うことで、一定の結論を得る予定である。
結論
平成23年度の結果はHTLV-1感染と慢性炎症性疾患およびその治療の間にinteractionが存在するという仮説を支持するものであり、本研究デザインはその解明に有効であると考察された。平成24年度において研究を続行し、全国規模での調査や各疾患の診療ガイドラインに提言を行うことが必要であるか否かを明らかにする。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128281Z