文献情報
文献番号
201128271A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-116
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小椋 祐一郎(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 石橋達朗(九州大学 大学院医学研究科)
- 稲谷 大(福井大学 大学院医学研究科)
- 大鹿哲郎(筑波大学 大学院医学研究科)
- 坂本泰二(鹿児島大学 大学院医学研究科)
- 白神史雄(香川大学 大学院医学研究科)
- 高橋寛二(関西医科大学 大学院医学研究科)
- 高橋政代(理化学研究所)
- 寺崎浩子(名古屋大学 大学院医学研究科)
- 西田幸二(大阪大学 大学院医学研究科)
- 村上 晶(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 安川 力(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
- 山本修一(千葉大学 大学院医学研究科)
- 湯沢美都子(日本大学駿河台病院)
- 吉村長久(京都大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
65,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、難治性・進行性で視力予後不良な疾患である加齢黄斑変性、網膜色素変性などの網膜脈絡膜萎縮をきたす疾患群と視神経萎縮をきたす疾患群を対象としてその実態調査、病態解明、治療法開発を目的とする。
研究方法
(1)加齢黄斑変性は高齢者の主要な失明原因であり近年増加傾向にある重大疾患である。光線力学的療法(PDT)に加え、2009年に抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法が導入され、併用療法を含めると治療方法に多様性が生じているため、いずれの治療がより有効であるか病型別に検討した。また疫学調査および病態解明のための基礎研究、iPS細胞を利用した再生医療の臨床応用を進める。(2)網膜色素変性症は遺伝性の網膜変性疾患であるが、日本人特有の遺伝子異常が報告されており、遺伝子治療や神経保護治療に向けての基礎となる遺伝子データベースの構築を目指す。また、病態解明、神経保護治療薬、遺伝子治療に関する基礎および臨床研究を進める。(3)視神経萎縮は緑内障を始めいろいろな病態で発症し、不可逆的障害を残す。視神経萎縮の進行阻止のための神経保護治療の開発と、失われた視機能の回復を目的とした幹細胞による網膜再生治療と人工視覚の開発を行う。その他、視覚障害者の原因疾患の割合を調査する。
結果と考察
加齢黄斑変性に対する病型別の長期成績結果をもとに、病型別の治療指針を確立中である。ゲノムワイド関連解析(GWAS)により新たな遺伝子多型の関与が発見された。今後、発見された原因遺伝子の情報は病態解明やテーラーメード医療に役立つものと考えられる。VEGF受容体ペプチドを利用したワクチン療法の第1相臨床試験で安全性とある程度の有効性が示された。網膜色素変性や視神経萎縮においては、原因遺伝子の解析やデータベースの構築が進められ、遺伝子導入療法の臨床応用の準備が整った。萎縮した網膜や視神経に対する再生医療や人工視覚の臨床応用は、失明患者が熱望するものであり、今後も進展を目指す必要がある。
結論
新たな治療法の導入により、加齢黄斑変性の視力予後は劇的に改善した。今後、治療指針の普及、更なる有効な治療法の開発に向けた臨床研究が必要である。網膜色素変性や視神経萎縮においては、原因遺伝子の解析やデータベースの構築が進められ、遺伝子導入療法の臨床応用の準備が整った。萎縮した網膜や視神経に対する再生医療や人工視覚の臨床応用は、失明患者が熱望するものであり、今後も進展を目指す必要がある。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
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