小児保存期慢性腎臓病患者の長期予後の解明と腎不全進行抑制の治療法の確立

文献情報

文献番号
201128268A
報告書区分
総括
研究課題名
小児保存期慢性腎臓病患者の長期予後の解明と腎不全進行抑制の治療法の確立
課題番号
H23-難治・一般-113
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
石倉 健司(東京都立小児総合医療センター 腎臓内科)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 雅敬(東京都立小児総合医療センター 副院長)
  • 上村 治(あいち小児保健医療総合センター 腎臓科)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 生物統計学分野)
  • 服部 元史(東京女子医科大学病院 腎臓小児科)
  • 田中 亮二郎(兵庫県立こども病院 腎臓内科)
  • 和田 尚弘(静岡県立こども病院 腎臓内科)
  • 中西 浩一(和歌山県立医科大学 小児科)
  • 伊藤 秀一(国立成育医療研究センター 腎臓・リウマチ・膠原病科)
  • 濱崎祐子(東京都立小児総合医療センター 腎臓内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,本邦で初めて行われた小児の保存期CKD患者(生後3か月から15歳まで,透析,移植患者を除く)に関する全国疫学研究である.昨年度の解析で,本邦には推定で537人の小児保存期CKD患者が存在することが明らかになった.平成23年度の研究は,小児保存期慢性腎臓病(CKD)患者の患者登録(レジストリ)システムの構築と,それに基づく前向きコホート研究,およびランダム化比較試験(RCT)を行う.それにより小児CKD患者の長期予後や腎不全進行の危険因子等の解明と,腎保護治療を確立することを目的とする.
研究方法
1.小児CKDレジストリ
小児保存期慢性腎臓病(CKD)患者の患者登録(レジストリ)システムを構築し,前向きコホート研究のデータ収集,解析を行う.
2.RCT
1歳以上の小児CKDステージ3,4の患者を対象にした,ARB(バルサルタン)と球形吸着炭投与の多施設共同RCTを実施する.対象患者数は統計学的妥当性と実施可能性(小児CKD疫学研究で得られた対象患者数等)を勘案し両群60名計120名とする.治療期間は2年間,エントリー期間は3年間を予定している.
結果と考察
本年度は,昨年度明らかにできなかった新規患者数(2009年4月から2010年4月の1年間)が70人であり,小児人口100万人あたり5.8人の罹患率であることが示された.さらに,対象患者409人中4人が死亡し,49人が新たにESKDに進行していることが明らかになった.腎代替療法は,従来知られているとおりPDが最も多かった.一方先行的腎移植が新規ESKDの26.5%を占め,増加傾向であることが確認できた.
 さらに1歳以上の小児(当初は6歳以上)CKDステージ3,4の患者を対象にした,バルサルタンと球形吸着炭投与の多施設共同RCTを開始し,すでに患者エントリーを開始した.またバルサルタンの公知申請にともない小児薬用量が決定されたため,それに整合する形でプロトコール改訂を行った.これまでエビデンスの無いまま,腎保護目的に使用されていた薬剤のエビデンスが確立されることが期待される.
結論
本研究により本邦小児CKDに関し,有病率に加え罹患率を明らかにできた.さらにESKDへの進行の実態が解明できた.今後も年次調査を続けESKDへの進行のさらなるリスク因子を解析するとともに,他の合併症,とくに心機能障害や貧血,CKD-MBDの実態も明らかにする必要がある.またRCTの遂行により,今後小児CKD患者に対する腎保護のエビデンスが確立することが期待される.

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128268Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
13,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 738,835円
人件費・謝金 3,012,594円
旅費 1,579,380円
その他 4,671,268円
間接経費 3,000,000円
合計 13,002,077円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
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