過剰運動<hypermobility>症候群類縁疾患における病態解明

文献情報

文献番号
201128265A
報告書区分
総括
研究課題名
過剰運動<hypermobility>症候群類縁疾患における病態解明
課題番号
H23-難治・一般-110
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 淳(日本医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 隆(日本医科大学医学部)
  • 古庄 知己(信州大学医学部)
  • 松本 健一(島根大学総合科学支援センター)
  • 松本 直通(横浜市立大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
過剰運動<hypermobility>症候群は、関節の可動更新(過可動、不安定性)を中心とする症候群であるが、疼痛、立ちくらみ、消化器症状などの症状を伴い、特に関節症状とともに疼痛対策が課題の中心であることが明らかになった。本研究は、平成22 年度に行った過剰運動<hypermobility>症候群の実態調査ならびに診療指針構築に基づき、本症候群の「臨床像・自然歴の解明」、「原因の解明」、「診断方法の確立」の3つをめざし、診断、治療を目指した本症候群の病態解明を目標とする
研究方法
過剰運動症候群の個々の罹患者の症状ならびに治療効果について検討を加えた(渡邉(日本医科大学)・古庄(信州大学))。原因の解明における候補遺伝子アプローチとしては、欧米で劣性遺伝形式をとるhypermobility に報告がされているTenascin-X について検討した(松本(島根大学)・島田(日本医科大学))。本症候群には複数の原因が考えられ、疾患遺伝子の単離を目指し解析を進める(松本(横浜市立大学))
結果と考察
罹患者が集積している病院(日本医科大学、信州大学)の罹患者診療情報を中心に経過を精査し、本症候群の臨床像・自然歴を明確にした。本年度は関わる診療科(整形外科、緩和ケア科(麻酔科)、循環器内科、消化器内科、神経内科)の方を研究協力者に加え、診療システムの構築を検討した。さらに、Tenascin-X欠損の本邦第一例を発見し、TNXB遺伝子変異を同定した。Tenascin-X欠損の本症候群の位置づけについて検討を行う。探索遺伝子アプローチは疾患遺伝子の単離を目指し、家系内の罹患者・非罹患者リンケージ解析や次世代シークエンサーを用いたExome解析を行っており、24年度も引き続き検討を行う。



結論
本疾患は日本において周知されておらず、結合組織疾患の所見として医師に広く知られている皮膚症状が少ない一方で、関節症状・疼痛・消化器症状などの症状に幅が広く、関わる診療科も多く、連携を踏まえた診療システムの構築が必要である。
今後、本症候群を1つのカテゴリーとして「臨床像・自然歴の解明」、「原因の解明」を中心とした研究を継続して進めることで本症候群の病態を明らかにし、本症候群の症状進行の予防、治療方法の開発に結びつけたい。本症候群は1施設あたりの罹患者は少ないが統括して検討することで、本症候群の実態が明らかになると期待している。

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128265Z