難治頻回部分発作重積型急性脳炎の病態解明のための包括的研究

文献情報

文献番号
201128263A
報告書区分
総括
研究課題名
難治頻回部分発作重積型急性脳炎の病態解明のための包括的研究
課題番号
H23-難治・一般-107
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
佐久間 啓(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 義朗(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科)
  • 田沼 直之(東京都立府中療育センター 小児科)
  • 九鬼 一郎(静岡てんかん・神経医療センター 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1) 難治頻回部分発作重積型急性脳炎(AERRPS)とfever-induced refractory epilepsy syndrome (FIRES) の異同を明らかにすること.
 またAERRPSの病態解明の手がかりを得るために,以下のような多面的なアプローチを試みた.
2) AERRPS症例の脳組織切除検体を用いた病理学的検討
3) AERRPS患者血清における抗神経抗体の検討
4) 急性脳症患者における髄液酸化ストレスマーカーならびにサイトカインの測定
5) AERRPSならびに抗NMDAR脳炎における脳機能画像の比較検討
研究方法
1) AERRPSならびにFIRESに関する文献の比較検討を行った.
2) 脳組織に対してHE染色, KB染色およびGFAP, CD8, CD68, MMP-9, EAA1, EAA2, GluR2に対する抗体を用いた免疫染色を施した.
3) AERRPS患者血清を,各種抗神経抗体の責任抗原を遺伝子導入したHEK293と反応させ,免疫細胞化学法により検討した.
4) 急性脳症およびけいれん重積を対象として,髄液酸化ストレスマーカー(8-OHdG,HEL),タウ蛋白,各種サイトカインを測定した.
5) 脳機能画像については,脳血流分布はcerebral blood flow SPECT(CBF)を,中枢性ベンゾジアゼピン受容体は123I iomazenil SPECT(BZR)の後期像を使用して評価した.
結果と考察
1) AERRPSとFIRESの特徴は概ね一致した.
2) AERRPSの病変部位では血管周囲への炎症細胞浸潤と基質の粗鬆化,興奮性アミノ酸トランスポーターの発現亢進が見られた.
3) 9例中2例で抗NMDA受容体抗体が陽性であったが,その他の抗神経抗体は陰性であった.
4) 髄液8-OHdGは多くの例で高値を示し,治療後は改善した.
5) AERRPSでは中枢性ベンゾジアゼピン受容体イメージングにおいて,多発性の広汎な集積低下所見を認めた.
結論
 AERRPSとFIRESは同一疾患と考えられた.病理学的に炎症所見を認めたこと,抗神経抗体が一部の症例で陽性であったことから,炎症の関与が考えられた.また酸化ストレスの関与や脳機能画像における局所的変化も示唆され,AERRPSの病態を考える上で興味深い所見であった.

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128263Z