ファール病(特発性両側性大脳基底核・小脳歯状核石灰化症)の診断方法の確立と治療法の開発

文献情報

文献番号
201128262A
報告書区分
総括
研究課題名
ファール病(特発性両側性大脳基底核・小脳歯状核石灰化症)の診断方法の確立と治療法の開発
課題番号
H23-難治・一般-106
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
保住 功(岐阜薬科大学 医療薬剤学大講座薬物治療学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 下澤伸行(岐阜大学 生命科学総合研究支援センターゲノム研究分野)
  • 柴田敏之(岐阜大学大学院医学系研究科口腔病態学分野)
  • 犬塚 貴(岐阜大学大学院医学系研究科神経内科・老年学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,833,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原因不明で両側性に大脳基底核と小脳歯状核に石灰化を認める疾患(IBiC)は、ファール病と通称されてきた。その臨床的な多様性から、全国の患者数やその実態は明らかでなく、治療法に関して全く不明である。まず、日本における患者の実態ついて明らかにする。患者の毛髪、髄液中の重金属を測定する。髄液タンパク質のプロテオーム解析を行う。患者のDNAから、原因遺伝子を見出す。また、患者のiPS細胞を作製し、病態の解明や治療法に役立てる。脳内石灰化の原因、機序を解明し、治療薬を開発する。
研究方法
神経内科専門医と小児神経専門医を対象に、IBiCに関して、1次アンケート調査を行う。2次調査で臨床データの収集、3次調査で毛髪、血清、DNAの検体の提供を依頼する。地域重点的に岐阜、新潟の大学病院における1年間の頭部CT写真を撮影した全症例について脳内石灰化の頻度を調査する。毛髪の重金属測定を行う。髄液タンパク質のプロテオーム解析を行う。遺伝子は既報のIBGC1、SLC20A2の解析、さらに原因遺伝子の検索を行う。
結果と考察
患者登録総数として151例。うち詳細不明が23例、副甲状腺機能亢進症が1例、Cockayne症候群とAicardi-Goutieres症候群疑いが各1例ずつあった。岐阜、新潟の大学病院における全例調査で、頭部CTで淡蒼球に点状の石灰化を認める症例は約20%、斑状は2%弱で、65歳以上で増加し、小脳歯状核では0.2%とその頻度は低かった。収集した毛髪検体数は、53検体であった。その中で、28検体に関して、24種の金属種をICP-MSを用いて測定した。患者群の毛髪ではリン、銅、ゲルマニウム、セレニウムの含量が有意に低下していた。収集したDNAは72検体であった。遺伝子検索では、IBGC1で高率にみられるMGEA6遺伝子p.P521A変異は、家族歴のある2家系の患者7名および弧発例21例で検索し、1例も認めなかった。ごく最近報告のあったSLC20A2遺伝子変異について解析を進めている。
結論
IBiCは神経内科医、小児神経内科を対象としたアンケート調査で、100症例を超える症例が集積された。小児例では先天代謝異常症、初老期以降例では小阪・柴山病が存在することが推測された。新たにSLC20A2の遺伝子変異が見つかったことから、新たな展開が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128262Z