先天性角化不全症の効果的診断方法の確立と治療ガイドラインの作成に関する研究

文献情報

文献番号
201128255A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性角化不全症の効果的診断方法の確立と治療ガイドラインの作成に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-099
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小島 勢二(名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 義行(名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学)
  • 伊藤 悦朗(弘前大学大学院医学研究科 小児科学)
  • 小原 明(東邦大学医療センター大森病院 輸血部)
  • 伊藤 雅文(名古屋第一赤十字病院 病理部)
  • 山口 博樹(日本医科大学 血液内科)
  • 長谷川 好規(名古屋大学大学院医学系研究科 呼吸器内科学)
  • 秋山 真志(名古屋大学大学院医学系研究科 皮膚病態学)
  • 中尾 眞二(金沢大学医薬保健研究域医学系 細胞移植学)
  • 谷ヶ崎 ヒロシ(日本大学医学部 小児科学)
  • 大賀 正一(九州大学大学院医学研究院 周産期・小児医療学)
  • 矢部 普正(東海大学医学部基盤診療学系 再生医療科学)
  • 金兼 弘和(富山大学附属病院 小児血液・免疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性角化不全症(DKC)は、皮膚の網状色素沈着、爪の委縮、口腔内の粘膜白斑症をともなう骨髄不全症で、10歳前後までに80%以上の患者にこれらの 身体所見を付随した再生不良性貧血(再不貧)を発症する。本研究班では、本症の中央診断システムの確立と、わが国における本症の診断、治療に関するアンケート調査をもとに、治療ガイドラインの策定をめざす。
研究方法
末梢血や骨髄塗抹標本を名古屋大学、聖路加国際病院で、骨髄生検標本は名古屋第1赤十字病院で中央診断をおこなう。名古屋大学では、FlowFISH法による血球テロメア長のスクリーニングをおこない、さらにDCの疑い症例に対しては7種のテロメア関連遺伝子(DKC1,TERC,TERT,NHP2,NOP10,TINF2、TCAB1)の変異の有無を直接シークエンス法で検討する。遺伝子診断の目的で送られて来た検体の余剰については、次世代シークエンサーによる今後の新規遺伝子探索に備えて、倫理委員会、患者および患者家族の同意を得た後にDNAとして保存する。また、テロメア長の測定として従来のFlow・FISH法、Southern blotting法とReal time PCR法とを比較して、Real time PCR法でもテロメア長の短縮を検索可能であるかを検討する。
結果と考察
2011年8月までに、500 例の中央診断がおこなわれ33例の先天性骨髄不全症候群が診断されたが、そのうち先天性角化不全症(DC)は3例であった。 また、2011年3月1日から2012年2月29日までの1年間に中央診断で再生不良性貧血と診断された97例のテロメア長をFlowFISH法で測定したところ、12例においては-3SD以上の著明な短縮を認めた。これら12例において7種の遺伝子検査を行ったが、既知のテロメア関連遺伝子の異常を認めなかった。しかし、臨床的にDCと診断される患者の半数近くは原因遺伝子不明であり、このような症例では既知のテロメア関連遺伝子異常がないからと言って完全には潜在性DCを否定できないと考えられる。今後は、このような症例を対象に、次世代シークエンサー等を用いた新規原因遺伝子の探索も必要になるであろう。
結論
再生不良性貧血患者におけるリンパ球テロメア長短縮の臨床的、生物学的意義は不明であり、今後、分子生物学的手法や臨床研究によって、この点を明らかにすることが必要であろう。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128255Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
13,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,712,165円
人件費・謝金 1,491,835円
旅費 846,400円
その他 949,631円
間接経費 3,000,000円
合計 13,000,031円

備考

備考
利息:31円

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-