オカルト黄斑ジストロフィーの効果的診断法の確立および病態の解明

文献情報

文献番号
201128250A
報告書区分
総括
研究課題名
オカルト黄斑ジストロフィーの効果的診断法の確立および病態の解明
課題番号
H23-難治・一般-094
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
角田 和繁(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター視覚研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 峰生(三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学)
  • 篠田 啓(帝京大学医学部眼科学講座)
  • 國吉 一樹(近畿大学医学部眼科学教室)
  • 町田 繁樹(岩手医科大学眼科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
オカルト黄斑ジストロフィーは遺伝性の黄斑部変性症であり、いまだにその臨床病態および病理学的・分子遺伝学的な原因が明らかにされていない。このため多くの眼科施設では正確な診断に至らず、誤った治療を受ける例が非常に多く、大きな問題となっている。さらに、当疾患には家族性タイプから弧発例タイプまでさまざまな亜型があることが予想され、本疾患の正確な病態の解明の必要性が強く求められている。本研究の目的は、本疾患の大家系、多数の小家系・弧発例の疾患病態を多施設間で詳しく調べることで、本疾患の臨床的および分子遺伝学的病態を解明し、診断基準の作製を行うことである。
研究方法
臨床病態調査にあたっては発症の経過を詳しく調べる他に、健常者を含めた定期的な眼科ルーチーン検査(視力、視野検査等、電気生理学的検査、蛍光眼底造影、光干渉断層計等)などを行い、眼科検査の面から疾患の完全な病態把握を行った。原因遺伝子検索にあたっては、検体は分子細胞生物学研究室に運ばれ原因遺伝子の検索が行われた(担当:研究分担者岩田)。
結果と考察
多施設の共同研究により、オカルト黄斑ジストロフィー家系から49例の臨床的調査および血液サンプルの採取を行うことができた。DNAダイレクトシーケンスより、そのうち27例において45および960のアミノ酸置換を確認することができた。さらにOCTを用いた画像解析により、その特徴は視細胞内節および外節に発現する本遺伝子の性質を裏付けていた。同時に変異を持たない症例のなかにはRP1L1変異とは全く異なる機序により網膜機能障害を来たしている症例が含まれることが明らかになり、本疾患が複数の異なる病態を含んだ疾患群であることが推察された。
RP1L1変異以外の遺伝子検索においては今のところ疾患原因の候補は見つかっておらず、次年度以降はさらに多数の家系調査を行い、また、次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析によって新たな原因を探索する予定である。
結論
多施設共同研究による多数症例の臨床的調査および遺伝子検査により、これまでに分からなかったオカルト黄斑ジストロフィーの性質、病態がより鮮明になった。今後、他の原因遺伝子の解明、RP1L1遺伝子の詳細な機能解析を引き続き行うとともに、本疾患の全体像を明らかにすることでその診断がより一般的かつ正確に行われることを目指したい。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128250Z