ヤング・シンプソン症候群の病態解明と医療管理指針作成に関する研究

文献情報

文献番号
201128249A
報告書区分
総括
研究課題名
ヤング・シンプソン症候群の病態解明と医療管理指針作成に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-093
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
研究分担者(所属機関)
  • 升野 光雄(川崎医療福祉大学 医療福祉学部 医療福祉学科)
  • 山内 泰子(川崎医療福祉大学 医療福祉学部 医療福祉学科)
  • 近藤 達郎(社会福祉法人聖家族会重症心身障害児施設みさかえの園むつみの家)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー 中央病院)
  • 安達 昌功(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 内分泌代謝科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨年度までの研究で診断基準を定め、医療管理指針を明らかにしたヤング・シンプソン症候群の責任遺伝子を明らかにし、診断基準を見直し、遺伝子レベルで診断確定した生体試料の保存を目的とした。
研究方法
診断基準を満たす典型4症例でアレイCGHでの変異がないことを確認後、父母のexome解析を同時に行う1家系trio解析と1例exome解析を組み合わせて、責任遺伝子の同定をめざした。解析ターゲット領域であるエクソン領域の濃縮は、SureSelect Human All Exon 50MB Kit(Agilent)を用い、解析はIllumina GAIIxに加え、HiSeq200での検証も行った。
結果と考察
現在まで病因不明のヤング・シンプソン症候群において、責任遺伝子同定を目指してtrio1家系+1症例でexome解析を行い、原因遺伝子をMYST4(KAT6B)と決定した。それぞれの症例でタンパクの著しい機能障害が予想されるナンセンス変異をエクソン18に認めた。今回の解析の途中で、海外からヤング・シンプソン症候群の原因遺伝子がKAT6Bであることが報告された(Clayton-Smith et al., 2011)。さらにそれに引き続いて、外性器・膝蓋骨症候群の責任遺伝子でもあることが報告された。疾患概念の確立から取り組んできた我々の研究グループとしては残念ではあるものの、こうした国際レベルで研究が展開されてゆくことの意義を確認した。
今回のヤング・シンプソン症候群の原因遺伝子同定に基づき、平成22年度に提案された診断基準・診療指針の見直しを行い、原因遺伝子KAT6Bの遺伝子検査を検査項目に追加し、その結果解釈などにも触れた。ただし、こうした先天奇形症候群での遺伝的異質性も考慮する必要があることも明記した。
その他、ヤング・シンプソン症候群疑い症例1例において、マイクロアレイCGH解析により3p25.3-p26.1に2.10Mbの微細欠失を検出した。また、遺伝子レベルで確定した生体試料の保管が達成された。
結論
Exome解析により、ヤング・シンプソン症候群の原因遺伝子をMYST4(KAT6B)と決定した。さらに多症例による診断基準、医療管理指針の再検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128249Z