特発性周辺部角膜潰瘍の診断および治療に関する研究

文献情報

文献番号
201128245A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性周辺部角膜潰瘍の診断および治療に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-089
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
外園 千恵(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 坪田一男(鹿臆義塾大学 医学部眼科)
  • 大橋裕一(愛媛大学 医学部眼科)
  • 井上幸次(鳥取大学 医学部眼科)
  • 西田幸二(大阪大学 医学部眼科)
  • 上田真由美(同志社大学 生命医科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特発性周辺部角膜潰瘍は、特に全身疾患を有さない若年あるいは壮年者の片眼もしくは両眼に突然に発症し、高度の充血、結膜浮腫に加えて、特異な角膜潰瘍を呈して急速に進行する難治な炎症性疾患である。ステロイド、免疫抑制剤による保存療法がある程度有用であるが、これらを行っても進行を止められないことが多く、しばしば角膜穿孔をきたす。角膜穿孔をきたした場合には表層角膜移植が行われるが、術後の再発率が高い。このため予後は極めて不良であり、高率に失明に至る。
本疾患の問題点は、1)国内外ともに診断基準がない、2)海外も含めて根治可能な治療が確立していない、3)発症頻度が稀であり一般眼科医は経験に乏しい、の3点にある。
本研究班では、平成22年度に特発性周辺部角膜潰瘍の診断基準を作成した。本研究では、この診断基準をもとに、国内の実態調査を実施し、診断基準の周知をはかるとともに、診断および治療と予後に関する検討を行い、予後改善に有用な治療法を確立する。

研究方法
角膜学会会員約1200名を対象として、2006年から2010年の5年間に新規に治療を実施した特発性周辺部角膜潰瘍についての実態調査を行った。
各分担研究者においては、各施設の症例を対象として、レーザー共焦点顕微鏡を用いた活動性評価と前眼部光干渉断層計を用いた角膜形状評価を行い、その有用性を検討した。また外科的治療の予後、関節リウマチや膠原病による角膜潰瘍との鑑別、組織を用いた病態解析に関する検討を実施した。

結果と考察
全国より診断基準に合致する100例120眼についての詳細な診療情報を収集した。外科的治療により寛解を得ることが可能であったが、他の角膜潰瘍に比べ再発率が高かった。レーザー共焦点顕微鏡および前眼部光干渉断層計は、活動性あるいは形状の客観的評価として有用であった。膠原病による角膜潰瘍において、本疾患との鑑別困難な症例があった。組織を用いた病態解析において、プロスタグランジンE2受容体サブタイプEP3は病態に関与しないと考えられた。
結論
特発性周辺部角膜潰瘍の診断基準は本疾患の診断に有用であり、全国調査により診断基準を広く周知できた。レーザー共焦点顕微鏡および前眼部光干渉断層計は客観的評価に有用である。膠原病による角膜潰瘍と本疾患との鑑別について、さらなる検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128245Z