家族性地中海熱の病態解明と治療指針の確立

文献情報

文献番号
201128238A
報告書区分
総括
研究課題名
家族性地中海熱の病態解明と治療指針の確立
課題番号
H23-難治・一般-082
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
右田 清志(独立行政法人 国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 好一(自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門 )
  • 上原 里程(自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門 )
  • 谷内江 昭宏(金沢大学医薬保健研究域小児科講座)
  • 上松 一永(信州大学大学院医学系研究科)
  • 増本 純也(愛媛大学大学院医学系研究科ゲノム病理学分野 プロテオ医学研究センター)
  • 矢崎 正英(信州大学医学部内科学(脳神経内科、リウマチ・膠原病内科))
  • 中村 昭則(信州大学医学部附属病院内科(脳神経内科、リウマチ・膠原病内科))
  • 古川 宏(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 石橋 大海(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 安波 道郎(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 井田 弘明(久留米大学医学部呼吸器・神経・膠原病内科)
  • 寺井 千尋(自治医科大学附属さいたま医療センター リウマチ科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦FMF症例の遺伝子変異型と臨床像との関連を明らかにし、海外例と対比し、日本人FMFの臨床像を明らかにすることを目的とした。また本邦FMF症例は、MEFV遺伝子ヘテロ接合体での発症例が多く、基礎研究班では、FMF発症に関わるMEFV遺伝子以外の遺伝的要因、また診断の補助となるバイオマーカーの探索をすることを目的とした。
研究方法
①家族性地中海熱の全国疫学調査
家族性地中海熱全国2次調査で詳細な臨床情報が得られた症例を対象に、病型、遺伝子型を解析した。
第1次調査で該当患者ありと報告のあった診療科には、各患者の詳しい情報について、郵送により第2次調査を行う。

②不明熱症例にFMFの占める比率
自己炎症研究会に遺伝子診断の依頼のあった不明熱例に対し、遺伝子解析(FMFの責任遺伝子MEFV遺伝子解析)を行い、遺伝子解析結果と臨床像から、FMF確実例、疑い例を抽出した。
結果と考察
本年度の研究成果から以下の点が明らかになった。
(1)本邦FMF症例は、遺伝子変異型、臨床症状が大きく異なる。
(2)その結果、海外の診断基準に準じた診断では、不完全型(非定型例)に分類される症例が多い。
(3)他のリウマチ性疾患、不明熱症例の中に非定型FMFと考えられる症例がふくまれている。
(4)本邦FMF症例(典型例ふくめ)には、MEFV遺伝子変異がみられない症例、ヘテロ接合体症例が多くふくまれている。
FMF典型例、FMF非典型例(FMF variant)を症例集積して、その遺伝子変異型、臨床所見を対比することで、これら病型を識別できるより精度の高い診断基準作成する必要がある。FMF発症に関わるMEFV遺伝子以外の遺伝的要因、FMF発症の分子メカニズムを明らかにする必要がある。これらFMF発症分子メカニズムをふまえたFMF診断のためのバイオマーカーの検索が必要と考えられた。
結論
本邦のFMF症例の臨床像、重症度、遺伝子変異型が海外症例と比べて大きく異なることを明らかにした。その原因の一つとして遺伝子変異型と表現型との関連が考えられ、日本人に頻度の高いMEFV遺伝子変異(多型)により、非定型的症状を呈する非定型FMF(FMF variant)がFMF典型例より多く存在することを明らかにした。またMEFV遺伝子変異により、自己免疫疾患の病像が修飾される可能性も明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128238Z