多発肝のう胞症に対する治療ガイドライン作成と試料バンクの構築

文献情報

文献番号
201128237A
報告書区分
総括
研究課題名
多発肝のう胞症に対する治療ガイドライン作成と試料バンクの構築
課題番号
H23-難治・一般-081
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大河内 信弘(筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 福永 潔(筑波大学 医学医療系)
  • 野口 雅之(筑波大学 医学医療系)
  • 竹内 朋代(筑波大学 医学医療系)
  • 工藤 正俊(近畿大学 消化器内科学)
  • 川岸 直樹(東北大学病院 臓器移植医療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 多発肝のう胞症(Polycystic Liver Disease, PLD)は、長期にわたって生活に支障をきたし、時として肝移植を必要とする希少疾患である。病態の詳細はわかっておらず、研究に利用できる試料の収集も困難であるため、治療法を向上するための研究が遅れている。PLDの実態を把握して治療方針を定めるためにも、PLDの病態に関与する因子の探索を患者情報と合わせながら詳細に解析する必要がある。本研究は全国の施設からバンキングしたPLD試料を用いてPLD関連遺伝子の変異解析を行うと共に、これまでに行われたPLDの治療について詳細に調査する。研究成果や調査結果をまとめて最終的に治療ガイドラインを作成することを目的とした。
研究方法
1. 治療内容の調査(三次調査)
 PLDに対する治療の有無と方法について調査した二次調査(22年度施行)で治療を行ったと回答した施設に治療法や治療効果等の詳細な調査を行った。
2. 試料の収集
 22年度に構築したPLD試料バンクの充実化を図るために、これまでにPLD患者の肝切除または肝移植などの治療を行い、既存試料を保管している施設に対して試料提供を依頼した。
3. 遺伝子変異解析
 PLD試料バンクで収集した試料を利用して、PLDとの関連が示唆されているPRKCSH遺伝子の変異解析を行った。
結果と考察
 全国の医療機関101施設に対して治療内容についての調査票を送付し、85施設(188症例)から回答が得られた。治療は穿刺吸引が49.8%行われており、治療効果5年継続率は29.2%であった。今後はこれまでの調査結果を詳細に解析して治療の適応、効果について治療ガイドライン作成を行う。
 既存試料については22年度から継続して18症例(22検体)をバンキングすることができた。これらの試料よりDNAを抽出してPLD関連遺伝子であるPRKCSH遺伝子の解析を開始した。今後は遺伝子変異の有無について調べ、PLDの分子生物学的特徴を明らかにすることで治療ガイドライン作成、患者の生活の質の向上に貢献できることが期待される。
結論
・PLDの治療としてのう胞内容穿刺吸引49.8%、のう胞開窓術20.6%、肝切除17.1%、肝移植5.1%、動脈塞栓術4.3%が行われていた。
・全国の医療施設から18症例(22検体)の試料をバンキングした。
・バンキングした試料からDNA抽出が可能であり、有用な研究材料となることが分かった。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128237Z