重症・難治性急性脳症の病因解明と診療確立に向けた研究

文献情報

文献番号
201128234A
報告書区分
総括
研究課題名
重症・難治性急性脳症の病因解明と診療確立に向けた研究
課題番号
H23-難治・一般-078
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
水口 雅(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥村 彰久(順天堂大学 医学部)
  • 斎藤 義朗(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 高梨 潤一(亀田総合病院)
  • 廣瀬 伸一(福岡大学 医学部)
  • 山形 崇倫(自治医科大学 医学部)
  • 山内 秀雄(埼玉医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性脳症はありふれた小児の感染症を契機に発症し、しばしば死亡や重篤な後遺症をもたらす。本研究は、急性脳症のうち重症・難治性の病型(症候群)につき診断・治療の確立・向上を目指す。個々の症候群ごとに実態を把握し、臨床・検査・画像所見を集積・解析し、重症度判定のためのマーカーを見いだし、治療法の共同研究のプロトコール・システムを準備する。さらに急性脳症の遺伝要因解明のため、遺伝子研究の検体を収集し、解析を進める。また平成23年春に集団発生した腸管出血生大腸菌(EHEC)感染症に併発する急性脳症にも対応する。
研究方法
急性脳症の代表的症候群のうち急性壊死性脳症(ANE)と遅発性拡散低下をともなう急性脳症(AESD)の予後予測因子を抽出し、重症度スコアを作成した。ANE、AESDその他の遺伝子検体を収集し、候補遺伝子(ADORA2A、SCN1A、SCN2Aなど)について解析を進めた。EHEC研究班と連携し、EHEC脳症の頭部CT・MRI所見を収集・解析した。
結果と考察
AESDを熱性けいれんと鑑別するうえで有用な臨床所見が抽出され、これにもとづいてAESD診断スコアが作成された。ANEの予後予測に有用な所見が抽出され、これをもとにANE重症度スコアが作成された。これらのスコアは来年度の治療研究において活用される見込みである。
急性脳症の種々の病型に、SCN1AおよびSCN2A遺伝子変異が関与することが示された。またAESDの危険因子となるADPRA2A多型では遺伝子発現とcAMP産生が亢進していることが明らかとなり、アデノシン・cAMPを介したシグナル経路の過剰な活性化がAESDの病態であることが示された。
結論
急性脳症の代表的病型(症候群)であるANEとAESDの重症度スコアを作成し、治療研究の土台を築いた。遺伝子解析により複数の遺伝子と複数の症候群をつなぐ複雑なgenotype-phenotype correlationを明らかにするとともに、AESDの病態解明につながる知見を得た。EHEC脳症に関する検討を開始した。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128234Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
13,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,689,794円
人件費・謝金 2,127,989円
旅費 198,120円
その他 2,994,941円
間接経費 3,000,000円
合計 13,010,844円

備考

備考
差額を利息14円、自己資金10830円で支払った。

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-