ベスレムミオパチーとその類縁疾患の診断と病態に関する研究

文献情報

文献番号
201128233A
報告書区分
総括
研究課題名
ベスレムミオパチーとその類縁疾患の診断と病態に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-077
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
西野 一三((独)国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 由起子((独)国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部)
  • 樋口 逸郎(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 米川 貴博((独)国立精神・神経医療研究センター 病院小児神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Collagen VI(COL6)遺伝子の遺伝子診断システムを確立して患者レジストリ確立に向けた基盤を形成するとともに、遺伝子型・表現型相関および分子病態を解明することを目指した。
研究方法
COL6A1, A2, A3遺伝子の全エクソンおよび近傍イントロンのシークエンス解析法を確立した上で、これまでに同定されたBM 20例、UCMD 64例について、COL6A1,A2,A3遺伝子解析ならびにCOL6免疫染色を行った。全64例のうち5例はCOL6免疫染色が不明で遺伝子解析用血液もなかったため今回の研究対象からは除外した。残り59例について、臨床・病理所見と遺伝子変異型との関連を解析した。BMでは、9例の患者血液でCOL6A1,A2,A3遺伝子解析を行った。そのうち、生検筋検体があるものは4例であり、臨床・病理所見と遺伝子変異型との関連を解析した。
結果と考察
COL6遺伝子解析システムを確立するとともに、すでに本邦例のかなりを占めると思われるBM20例、UCMD59例を確保して、将来的な患者レジストリ確立に向けた基盤を形成することができた。
常染色体優性遺伝形式をとるBMの大家系において、COL6A1遺伝子のp.Lys319Argヘテロ接合性変異を同定した。長期経過がわかる5例では、全例足関節伸展拘縮を認め、4例でアキレス腱延長術を受けていた。発症時期は幼少期3例、思春期 1例、成人期1例で、アキレス腱延長術の施行年齢は6、10、14、15歳であった。BM患者でCOL6免疫染色を行い得た例は、全例、筋線維鞘特異的欠損(sarcolemma specific collagen VI deficiency: SSCD)であった。欧米での報告や診断基準では、BMでのCOL6染色性は保たれるか、部分欠損になるとされており、異なる結果であった。このことは、少なくとも本邦BM例は、UCMDとの一連のスペクトラムを形成する疾患として捉えられるべきであることを示している。
UCMD59例について遺伝子解析実施41例のうち、COL6A1変異は20例,COL6A2変異は8例、COL6A3変異は7例に認められた。多くの変異がtriple-helical domainにみられた。4例にCOL6A1遺伝子のp.Gly284Arg変異がみられ、そのうち3例では独歩を獲得したものはいなかったことから、この変異は重症な表現型と関連している可能性が示唆された。
結論
BM20例、UCMD59例を本邦患者を同定した。本邦BM例はSSCDを示し、UCMDとBMは一連のスペクトラムを形成する一つの疾患であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128233Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
13,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,000,000円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 3,000,000円
合計 13,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
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