遺伝子修復異常症(Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群)の実態調査、早期診断法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201128231A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子修復異常症(Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群)の実態調査、早期診断法の確立に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-075
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
金子 英雄(独立行政法人国立病院機構長良医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学医薬保健研究域医学系小児科)
  • 清河 信敬(独立行政法人国立成育医療センター研究所小児腫瘍学)
  • 滝田 順子(東京大学医学部附属病院無菌治療部)
  • 深尾 敏幸(岐阜大学大学院医学系研究科)
  • 内田 靖(独立行政法人国立病院機構長良医療センター小児科)
  • 山崎 直也(国立がんセンター皮膚腫瘍科)
  • 田内 久道(愛媛大学医学部附属病院小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、Bloom症候群並びにRothmund-Thomson症候群とその類縁疾患であるRAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の本邦における実態を明らかにし、早期診断法を確立しさらに疾患の病態を明らかにし患者のQOLの向上を図ることである。
研究方法
Bloom症候群の迅速診断法の確立のため、患者における病因遺伝子産物BLMタンパクの発現についての検討を行った。さらに、Bloom症候群における免疫不全の病態を明らかにするためT細胞リセプターのレパートアをフローサイトメーターを用いて解析した。RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の一次調査を行った。さらに、Rothmund-Thomsonの全国調査では、回答のあった10例の詳細な解析を行った。
結果と考察
Bloom症候群の簡易スクリーニング法として、フローサイトメトリーによるBLM蛋白検出法の確立を試みた。平成22年度の検討結果をもとに、最も検出効率の良い抗体を選定した。一方、健常人の末梢血を採血後、様々な条件でBLM蛋白の検出を検討したところ、採血直後より、採血翌日の方がBLM蛋白の発現量が高く、また培養することによってさらにその発現量が高くなることが判明した。免疫能の解析では、Bloom 症候群のナイーブ T細胞は比較的保持されており、加齢に伴う減少も認めなかった。T細胞の多様性の低下も Bloom症候群では軽度に留まった。調査票による検討では、RAPADILINO症候群は確定例が2例、疑い例が1例であり、Baller-Gerold症候群は疑い例が1例であった。今後、二次調査を実施、QOL等について調査、集計を行い詳細に解析する予定である。Rothmund-Thomson症候群は、確診例は9家系、10症例であった。10例中2例が死亡していた。診断は特徴的な皮膚症状によりなされている場合が多かった。10例中2例に骨肉腫が合併していた。
結論
至適な解析条件を確定することにより、フローサイトメトリーによるBLM蛋白検出は、Bloom症候群診断の簡易スクリーニング法として応用可能と考えられる。Bloom症候群における T 細胞機能異常は、他の遺伝子修復異常症のAtaxia-telangiectasiaと比較して限定的であることが示唆された。一次、二次調査の結果をもとに、Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の診断指針案を作製した。

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128231Z