特発性角膜内皮炎の診断および治療方針の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201128230A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性角膜内皮炎の診断および治療方針の確立に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-074
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
稲富 勉(京都府立医科大学 医学部眼科学)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉範子(同志社大学生命医科学部医工学科)
  • 大橋裕一(愛媛大学大学院医学系研究科)
  • 井上幸次(鳥取大学医学部視覚病態学)
  • 望月 學(東京医科歯科大学医歯学総合研究科)
  • 西田幸二(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
角膜内皮細胞に特異的な炎症を突然に生じる特発性角膜内皮炎は、角膜浮腫の発生により重篤な視力障害を引き起こし、水疱性角膜症に陥る病態の不明な疾患であり、診断基準や治療方法も確立されていない。本疾患については1990年ごろから希少重篤疾患として主として本邦で報告が重ねられている。サイトメガロウイルス角膜内皮炎(CMV角膜内皮炎)に着目し、CMV角膜内皮炎の診断および治療法の確立を目的とした。
研究方法
1)CMV角膜内皮炎の実態調査
特発性角膜内皮炎研究班が作成した診断基準に基づき、日本角膜学会会員1160名を対象にCMV角膜内皮炎の発症状況に関する実態調査を行った。
2)CMV角膜内皮炎・前部ぶどう膜炎の診断と病態解明に関する研究
前房水を用いてPCR法による病原微生物遺伝子の網羅的検索を行った。さらにCMV陽性症例についてCMVのDNAコピー数をreal-time PCRにて定量的に検索し、角膜内皮炎と前部ぶどう膜炎における相違、角膜内皮炎症例におけるウイルス量と種々の因子との相関について検討した。
3)CMV角膜内皮炎に対する外科的治療
CMV角膜内皮炎症例に対する角膜移植術の有用性と再発予防治療について検討した。
結果と考察
1)全国調査によるCMV角膜内皮炎の実態調査
 2004年から2011年にCMV角膜内皮炎と診断された症例は106例109眼であり、前房水PCR所見に加え、コインリージョンを伴う角膜内皮炎を認めた確定例77眼、前房水PCR所見に加え、角膜後面沈着物を伴う角膜浮腫からなる角膜内皮炎に、虹彩炎、眼圧上昇、角膜内皮減少のうち2項目以上を合併した臨床的疑い例32眼であった。
2)CMV角膜内皮炎・前部ぶどう膜炎の診断と病態解明に関する研究
 CMV角膜内皮炎において検出された前房水ウイルス量はCMVによる前部ぶどう膜炎のウイルス量と近似した値を示した。また。CMV-DNA量は再発性炎症、眼圧上昇と相関していた。
CMV角膜内皮炎と診断された症例では、生体角膜共焦点顕微鏡による全例で“Owl's Eye sign”が認められ、補助診断としての有用性が示された。
3)CMV角膜内皮炎に対する外科的治療
CMV角膜内皮炎症例に対する抗ウイルス治療後に水疱性角膜症に至った症例に対する角膜移植は有用な治療法であったが、再発の予防が必要不可欠であり、ガンシクロビルの点眼投与を併用することにより再発の予防および治療が可能であった。
結論
CMV角膜内皮炎の発症状況に関する全国調査により本疾患の特徴と診断、治療の現状を明らかにした。本疾患に対してはガンシクロビルやバルガンシクロビル等の抗

公開日・更新日

公開日
2013-03-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128230Z