Usher症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128228A
報告書区分
総括
研究課題名
Usher症候群に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-072
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宇佐美 真一(国立大学法人信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 工 穣(信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
  • 岩崎 聡(信州大学 医学部附属病院人工聴覚器学講座)
  • 村田 敏規(信州大学 医学部眼科学教室眼科学)
  • 熊川 孝三(虎の門病院 耳鼻咽喉科・聴覚センター)
  • 東野 哲也(宮崎大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
  • 長井 今日子(群馬大学大学院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)
  • 武市 紀人(北海道大学 医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 石川 浩太郎(自治医科大学 医学部耳鼻咽喉科)
  • 池園 哲郎(埼玉医科大学 耳鼻咽喉科学講座)
  • 内藤 泰(神戸市立医療センター中央市民病院)
  • 福島 邦博(岡山大学大学院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 鎌谷 直之  (理化学研究所ゲノム医科学研究センター )
  • 君付 隆 (九州大学大学院 医学研究院耳鼻咽喉科学)
  • 中西 啓(浜松医科大学 附属病院耳鼻咽喉科科学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Usher症候群は、感音難聴と網膜色素変性症を合併する常染色体劣性遺伝性の疾患である。Usher症候群の患者は視覚・聴覚の重複障害となるため日常生活に多大な支障をきたすため特別な支援が必要である。
 我が国におけるUsher症候群の有病率の実態は未だ不明確であり、正確な実態把握が必要な状況である。本研究ではUsher症候群に関する疫学調査および遺伝子解析を行い、日本における臨床疫学調査による疾患の実態把握および治療実態の把握および遺伝子診断を組み合わせた新しい治療ガイドラインの確立を主な目的としている。
研究方法
本邦におけるUsher症候群のタイプ分類および原因遺伝子変異の解析を目的に、本研究班の分担研究者の所属する医療機関13施設および研究協力機関において平成22年11月から平成23年8月までの10ヶ月間にUsher症候群とし登録された症例の内、DNA採血に協力の得られた症例を解析対象とし、一般臨床情報、遺伝的項目、聴覚検査、平衡検査、眼科検査の項目の実施率を求めた。また、MYO7A遺伝子およびCLRN1遺伝子の全エクソン領域およびスプライシング領域をシークエンスした。
結果と考察
Usher症候群は、臨床症状によりタイプ1から3に分類されるが、臨床症状に多様性がみられ、タイプ1、2では非典型例が多くを占めることが明らかとなった。また、カロリックテストを含めた前庭機能評価の実施率が低くタイプ分類のための検査が行われていないという課題が明らかとなってきたため、Usher症候群の統一したタイプ分類評価のためのフローチャートを提唱した。また、Usher症候群の原因遺伝子解析を実施した結果、タイプ1症例より、 新規MYO7A遺伝子変異が見出された。見出された遺伝子変異は欧州や米国とは異なる変異であり、民族特異性がある事が示された。
結論
本年度の研究により、タイプ分類が施設間で異なる原因として、前庭機能評価の実施率が低いことが明らかとなってきたため、タイプ分類のためのフローチャートを作成し報告した。今後、フローチャートの適応により全国統一したタイプ分類が可能となり、より臨床像を適切に把握できると期待される。また、Usher症候群タイプ1症例より、新規MYO7A遺伝子変異が見出された。見出された遺伝子変異は欧州や米国とは異なる変異であり、民族特異性がある事が確認された。

公開日・更新日

公開日
2013-03-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128228Z