文献情報
文献番号
201128223A
報告書区分
総括
研究課題名
メビウス症候群の全国調査に基づく診断基準と健康管理指針作成
課題番号
H23-難治・一般-067
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
升野 光雄(川崎医療福祉大学 医療福祉学部 医療福祉学科)
研究分担者(所属機関)
- 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 遺伝科 )
- 松井 潔(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 総合診療科 )
- 相田 典子(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 放射線科 )
- 大山 牧子(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 新生児科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
メビウス症候群は、先天性顔面神経麻痺、外転神経麻痺、四肢異常を特徴とし、多くは孤発例であるが、30家系ほどの家族例の報告がある。他の脳神経麻痺を伴う例もあり、類縁疾患も含めた日本の実態は明らかではない。本研究の目的は、1)メビウス症候群の類縁疾患も含めた実態を把握し、メビウス症候群の診断基準を作成する。2)その発生頻度を明らかにする。3)正確な自然歴に基づく健康管理指針を作成する。4)患者の生体試料を保存し、原因解明のためゲノム解析を行うことである。
研究方法
1)全国基幹病院の新生児科、小児科、小児神経科、遺伝科および新生児医療連絡会会員(331医療機関・451診療科)を対象にした過去5年間の症例経験の調査では、17機関から29症例(うち疑い8症例)の個人調査票の回答を得た。2)小児専門病院で1987年から2010年までに経験したメビウス症候群典型例11例とNICU管理を要した症例の中枢神経画像所見を含めた臨床像と医療的対応を後方視的チャートレビューにより検討した。3)小児専門病院を1991年から2008年に受診したメビウス症候群典型例11例と同期間に受診したダウン症候群症例数を比較し、発生頻度を推定した。4)マイクロアレイCGHによるゲノムコピー数異常解析を典型例に行った。
結果と考察
1)診断基準の作成
先天性顔面神経麻痺および先天性外転神経麻痺(片側性も含む)を伴い、他の神経筋疾患を原因としないものとした。外転神経麻痺と四肢異常を認めない不全型の存在を明らかにした。
2)発生頻度の推定
日本における発生頻度は少なくとも8万出生に1人と推定した。
3)健康管理指針の作成
メビウス症候群は、生後間もなくから呼吸障害を生じる重症例から、顔面神経麻痺と外転神経麻痺に限局される例まで、症状に幅があることを理解しておくことが重要である。全身管理と共に眼科・耳鼻咽喉科・整形外科・形成外科・歯科等の専門科へのコンサルトが必要である。チーム医療による包括的な健康管理を行い、家族支援を行う。
4)マイクロアレイCGHによるゲノムコピー数異常解析
解析した2例では有意なゲノムコピー数変化は認められなかったが、症例を増やして解析を継続中である。
5)患者の生体試料保存
培養皮膚線維芽細胞1例、ゲノムDNA 2例を保存した。
先天性顔面神経麻痺および先天性外転神経麻痺(片側性も含む)を伴い、他の神経筋疾患を原因としないものとした。外転神経麻痺と四肢異常を認めない不全型の存在を明らかにした。
2)発生頻度の推定
日本における発生頻度は少なくとも8万出生に1人と推定した。
3)健康管理指針の作成
メビウス症候群は、生後間もなくから呼吸障害を生じる重症例から、顔面神経麻痺と外転神経麻痺に限局される例まで、症状に幅があることを理解しておくことが重要である。全身管理と共に眼科・耳鼻咽喉科・整形外科・形成外科・歯科等の専門科へのコンサルトが必要である。チーム医療による包括的な健康管理を行い、家族支援を行う。
4)マイクロアレイCGHによるゲノムコピー数異常解析
解析した2例では有意なゲノムコピー数変化は認められなかったが、症例を増やして解析を継続中である。
5)患者の生体試料保存
培養皮膚線維芽細胞1例、ゲノムDNA 2例を保存した。
結論
メビウス症候群の診断基準と年齢に応じた健康管理指針を作成し、発生頻度を明らかにした。さらに外転神経麻痺と四肢異常を認めない不全型の存在を明らかにした。病因解明のためゲノム解析を継続する。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
-