有馬症候群の疫学調査および診断基準の作成と病態解明に関する研究

文献情報

文献番号
201128221A
報告書区分
総括
研究課題名
有馬症候群の疫学調査および診断基準の作成と病態解明に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-065
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第2部)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎 裕治(東京都立東部療育センター)
  • 大野 耕策(鳥取大学大学院  小児神経学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有馬症候群は、乳児期早期より重度精神運動発達遅滞、先天性視覚障害、嚢胞腎(若年性ネフロン癆)、眼瞼下垂、小脳虫部欠損を呈し、腎障害のため小児期までに死亡する常染色体劣性遺伝性疾患である。これまで臨床調査はなく実態が分かっていなかった。本研究の目的は、①有馬症候群の臨床疫学的研究と診断基準の策定を行い、②その原因遺伝子を同定し、病態を解明することである。
研究方法
①疫学的研究:小児科学、腎臓学、障害者医学の立場から一次調査内容を決定し、全国の小児科指導のいる病院483箇所(重症心身障害児病棟をもつ病院を除外した)、国立病院機構重症心身障害児病棟74箇所、公法人立施設120箇所にアンケートを実施した。回答のあった施設へは、二次調査として主治医へ再度アンケートを依頼した。
②遺伝子研究:①疫学的研究の結果を踏まえ、協力の得られた患者および家族から採血ないし皮膚を採取し、DNA抽出を行い、アジレント社ヒトCGHアレイ1Mのチップによる解析を行なった。
結果と考察
①疫学的研究:一次調査の回答率は、全国小児科病院72.7%、国立病院機構病院63.5%、公法人立重症児施設66.7%であった。その結果、有馬症候群のすべての症状をもつ例が13例であり、A-Eの2つ以上の症状を持つ疑い例が32例であった。二次調査の結果とあわせて、最終的な確定例数を検討中である。
②遺伝子研究:患者および家族の血液由来あるいは線維芽細胞由来DNAを用いて、アジレント社ヒトCGHアレイ1Mのチップによる解析を行なった。
本研究によって初めて患者数が明らかにされた。本疾患は多臓器に重度な障害をきたすことから、今回調査した施設ですべての患者を診療しているもの考えられる。また、稀ながら遺伝性が疑われる症例があり、今後の遺伝子解析の結果が待たれる。
結論
有馬症候群の疫学的研究と遺伝子解析を行なった。疫学的研究では、1971年の発見以来初めて患者数が明らかになった。今後、原因遺伝子の解析と更なる実態調査を行なう。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128221C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで、本疾患の疫学的調査がなく、本研究によって初めて患者数が明らかにした。その結果、有馬症候群13例(現在診療中7例、過去に診療6例)、疑い例(他の類縁疾患の可能性)が32例(現在診療中20例、過去に診療12例)であった。
臨床的観点からの成果
有馬症候群は腎不全で死亡することが多かったが、近年の医療の進展により長期生存する症例があり、医学的管理が重要であることが分かった。これまで、本疾患の疫学的調査がなく、本研究によって初めて患者数が明らかにされた。稀ながら遺伝性が疑われる症例があることが分かった。
ガイドライン等の開発
有馬症候群の診断基準の見直しを行なった。
その他行政的観点からの成果
臨床疫学調査を行ない、患者数を把握するのみならず、実態調査を行なった。また、生体試料の収集を行なった。
その他のインパクト
関連学会(小児神経学会)での発表を行ない、結果の公表と啓蒙活動を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2017-06-13

収支報告書

文献番号
201128221Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,500,000円
(2)補助金確定額
6,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,399,385円
人件費・謝金 1,640,143円
旅費 118,730円
その他 1,847,535円
間接経費 1,500,000円
合計 6,505,793円

備考

備考
当初予定していた物品費が価格変更により購入できなくなったため、自己負担にて補った。

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-