文献情報
文献番号
201128205A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性絨毛膜羊膜へモジデローシスの病理診断システムの確立と新生児慢性肺疾患発症リスク因子の解析に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-難治・一般-049
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 達也(国立大学法人東北大学 東北大学病院)
研究分担者(所属機関)
- 松田 直(国立大学法人東北大学 東北大学病院)
- 大山 牧子(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
極低出生体重児 (出生体重1,500g未満) の生存率が上昇している一方で,長期予後に関わる合併症は増加傾向にある.その中でも新生児慢性肺疾患(以下CLDと略す)は,新生児期の呼吸器予後が悪化するだけではなく,幼児学童期の発達障害とも強く関連することから,早急に克服すべき合併症のひとつである.びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス(以下DCHと略す)は,妊娠中の性器出血にともなう胎盤胎児面のヘモジデリン貪食細胞の浸潤を特徴とする病理診断名であり,CLDのリスク因子として近年注目されている.しかし,国内外におけるCLDの疫学研究では,DCHをそのリスク因子として位置づけていないため,その臨床像や肺損傷に与える影響の詳細は未だ明らかにされていない.
本研究では宮城県で出生する極低出生体重児の胎盤病理診断システムを定着させ,DCHが予後に与える影響を明らかにするための前方視的観察研究を実施する.
本研究では宮城県で出生する極低出生体重児の胎盤病理診断システムを定着させ,DCHが予後に与える影響を明らかにするための前方視的観察研究を実施する.
研究方法
1. 胎盤肉眼検索教育システムの構築:仙台赤十字病院,宮城県立こども病院,東北大学病院の新生児科医を対象に胎盤肉眼検索の講義と実習を行った.
2. DCH病理診断システムの確立:上記3施設で出生した極低出生体重児の胎盤を各施設でスクリーニング診断し,その後宮城県立こども病院臨床病理科で,DCHならびに羊膜壊死について組織診断した.また,新生児合併症に関するデータベースを作成した.
3. DCHと子宮内環境:出生時に採取した羊水,臍帯血中の炎症性サイトカインならびに肺損傷マーカーを測定し,病理診断名ごとに比較検討した.
2. DCH病理診断システムの確立:上記3施設で出生した極低出生体重児の胎盤を各施設でスクリーニング診断し,その後宮城県立こども病院臨床病理科で,DCHならびに羊膜壊死について組織診断した.また,新生児合併症に関するデータベースを作成した.
3. DCHと子宮内環境:出生時に採取した羊水,臍帯血中の炎症性サイトカインならびに肺損傷マーカーを測定し,病理診断名ごとに比較検討した.
結果と考察
胎盤肉眼検索の講義と実習の後,胎盤病理診断システムを稼働させ臨床研究を開始した.登録を開始して以来3施設で出生した極低出生体重児は2ヵ月で32例あり,宮城県全体の86.5%であった.出生体重1,000g未満の超低出生体重児については全例この3施設で新生児管理されていた.また,各施設での早産の原因,多胎数,出生週数や体重はそれぞれ異なっており,各施設の地域における役割が反映されていた.組織学的に診断されたDCHは32例中3例 (9.4%) であった.DCH3例中CLDは2例であり,いずれも中等症であった.臍帯血,羊水中炎症性サイトカインや肺損傷マーカーについては十分な検討ができなかった.
結論
本研究を立ち上げたことによって,宮城県における胎盤病理診断のための体制整備が確立され,前方視的観察研究の準備が整った.
公開日・更新日
公開日
2015-06-10
更新日
-